東京都金融賞で「ファイナンシャル・イノベーション部門」第一次選考を通過 Xpansiv、日英連携で炭素市場拡大へ

村山 大翔

村山 大翔

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米エクスパンシブ(Xpansiv)が、東京都主催の「2025年東京金融賞」においてファイナンシャル・イノベーション部門の第一次選考を通過した。同社は日本のエネルギー取引所運営企業エネチェーン(enechain)と連携し、国内のカーボンクレジット市場拡大と流動性向上に寄与している。今回の選出は、炭素市場の国際接続を進める両社の取り組みが評価された形だ。

東京都金融賞は、東京都が運営する国際金融都市・東京構想の一環として、金融業界における革新と持続可能性を推進する企業を表彰する制度である。今回の第一次選考では、国内外合わせて15社が選出され、そのうち海外企業は5社に限られた。

エクスパンシブは、世界最大級のカーボンクレジット現物取引所「CBL」を運営するインフラ企業であり、再生可能エネルギー証書やメタン削減クレジットなど環境価値取引の基盤を提供している。同社は近年、エネチェーンが運営する日本気候取引所(Japan Climate Exchange, JCEX)とのシステム連携を発表した。この連携により、日本国内の取引参加者は、ワンクリックでCBL市場にアクセスでき、国際的なカーボンクレジットの購入や清算を行うことが可能となる。

両市場の統合は、取引の流動性や価格透明性、製品多様性を高め、日本の「J-クレジット」制度における年間供給不足の緩和に貢献するとみられている。

エクスパンシブの最高商務責任者(CCO)であるベン・スチュアート氏は、「エネチェーンとの提携を通じて、日本企業が高品質なクレジットを透明かつ効率的に取引できる環境を整備している」と述べ、「東京都金融賞の第一次選考通過は、両社の革新的なソリューションが日本市場において評価された証しであり、日本が世界のエネルギー転換をリードする力を示している」と強調した。

エネチェーンの加藤英明副社長は、「エクスパンシブは世界最大級かつ信頼性の高い自主的炭素クレジット取引プラットフォームであり、日本における需要拡大を見据えた重要なパートナーだ」と述べ、「透明で効率的な取引環境の構築を通じて、日本の炭素市場をともに切り拓いていく」と語った。

今回の選考通過により、エクスパンシブは今後の最終審査を経て、年内にも受賞企業が決定する見込みである。東京都は、受賞企業に対し日本進出支援や金融庁・都庁とのネットワーク強化の機会を提供する方針を示している。

参考:https://xpansiv.com/xpansiv-selected-in-the-first-stage-screening-for-financial-innovation-category-at-tokyo-financial-award/