持続可能な航空燃料、SAF企業が米ナスダック上場、XCFグローバルがFocus Impactと合併完了

村山 大翔

村山 大翔

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持続可能な航空燃料(SAF)専業のXCFグローバル(XCF Global, Inc.)は6日、特別買収目的会社(SPAC)であるFocus Impact BH3アクイジションと事業統合を完了したと発表した。これにより、XCFは米ナスダックにおいて9日から「SAFX」の銘柄コードで取引を開始する。米国で初となるSAF純粋専業企業の上場により、同分野への機関投資家の資金流入が本格化する可能性がある。

XCFは既にネバダ州リノで38百万ガロンの年間生産能力を持つ「New Rise Reno」製造拠点を稼働させており、2025年2月に商業生産を開始。3月には初の顧客向け出荷を完了した。CEOのミヒール・ダンジ氏は「商業化済みのモデルとスケーラブルな施設を武器に、航空脱炭素の中心を担う」と述べた。

公開企業化で「調達力と信頼性」強化

Focus Impact BH3のCEO、カール・スタントン氏は「再現可能な開発モデルと強固な経営陣により、XCFは拡張可能なSAF基盤として稀有な存在」と評価した。XCFはすでにフィリップス66社との間で非食用原料の長期供給契約と燃料のオフテイク契約を締結しており、安定的なキャッシュフローを確保している。

今後の拠点拡大と供給戦略

XCFはリノ第2工場(2027年稼働予定)のほか、ノースカロライナ州およびフロリダ州にも新工場を建設中で、2028年の稼働を目指す。これらの拠点は、東海岸や湾岸地域の港湾アクセスに優れ、国内外への輸出体制を強化する。

・2025年:リノ初号機(年産3,800万ガロン)稼働
・2027年:リノ第2工場稼働予定
・2028年:フロリダ、ノースカロライナ工場稼働予定(総能力 1億5,900万ガロン)

また、同社の設計には特許出願中のユーティリティ設計が組み込まれており、10エーカーの敷地で迅速に複製可能なモジュール型施設とすることで、建設期間とコストの最適化を図る。

SAF市場とXCFの位置づけ

航空業界では2030年までにSAFの使用比率を10%に引き上げる目標が掲げられ、欧州を中心に強制的なブレンディング義務も進む。供給量が慢性的に不足するなか、XCFの「今すぐ供給可能な専業企業」としての立場は投資家や航空会社にとって重要性を増している。

同社は炭素クレジットの活用やCI(カーボンインテンシティ)スコアの低い燃料供給で、航空会社のサステナビリティ戦略を支援する役割も担う。

参考:https://xcf.global/news-details/2025/XCF-Global-and-Focus-Impact-BH3-Acquisition-Company-Announce-Closing-of-Business-Combination/default.aspx