世界銀行、コンゴ盆地6カ国の「炭素市場戦略」策定を支援 膨大な森林資源の収益化へ

村山 大翔

村山 大翔

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世界銀行(World Bank)は2026年2月23日、アフリカの中央部に位置するコンゴ盆地諸国が、森林資源を活用したカーボンクレジット市場への参入を加速させるための「戦略的ロードマップ」を発表した。対象となるのはカメルーン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、赤道ギニア、ガボン、コンゴ共和国の6カ国である。

この計画は、世界第2位の熱帯林を有する同地域の森林保護を、結果ベースの支払いや気候資金へと結びつけ、持続可能な経済成長のエンジンに転換することを目指している。

今回のロードマップは、森林率が高く森林減少率が低い「HFLD(High Forest, Low Deforestation)」諸国としての特性を活かし、国際的なカーボン市場で信頼性の高いカーボンクレジットを創出するための青写真となる。これまで同地域は森林減少や劣化という文脈で語られることが多かったが、今回の戦略により「森林主導の成長」へとナラティブを転換し、自然資本をグリーンジョブや地域社会のレジリエンスへと変換する枠組みを構築する。

各国の進捗状況には差があり、ガボンやコンゴ共和国は先行して結果報酬型のパイロット合意やREDD+(森林減少・劣化からの排出削減)を進めている一方、赤道ギニアや中央アフリカは初期段階にある。ロードマップでは、これらの国々がパリ協定第6条(市場メカニズム)に基づく国際取引に対応できるよう、以下の5つの柱を優先事項として掲げた。

  • パリ協定第6.2条および6.4条への国内枠組みの適合
  • デジタルMRV(測定・報告・検証)システムの構築と制度的能力の向上
  • カーボンクレジットの法的および税務上の取り扱いの明確化
  • 民間セクターの参画と地域住民・先住民族への利益還元メカニズムの構築
  • 長期的な気候投資と技術パートナーシップの誘致

世界銀行の西部・中部アフリカ地域担当ディレクターであるシャキブ・ジェナネ(Chakib Jenane)氏は、「コンゴ盆地の森林は地球の気候調節機能以上の価値を持つ。それらは重要な金融資産であり、開発の機会である。このロードマップは、自然資本を地域社会の収入や雇用に変えるための重要な架け橋となる」と強調した。

世界的なカーボンニュートラルへの潮流の中、高品質な森林由来のカーボンクレジットに対する需要は依然として高い。しかし、供給側である熱帯林諸国には、不透明なガバナンスやMRVの欠如という課題が根強く残っていた。今回の世界銀行による包括的な支援は、コンゴ盆地を「炭素除去(CDR)の巨大な供給源」として国際市場に再定義し、数千億ドル規模とも推計される世界の気候資金を同地域に呼び込む契機となることが期待されている。

コンゴ盆地は「地球の第2の肺」と呼ばれながら、ブラジルのアマゾンに比べて資金流入が限定的であった。特に、デジタルMRVの構築には日本の衛星監視技術やブロックチェーン技術の活用余地が大きく、技術提供を通じた参入機会も無視できない。

参考:https://www.worldbank.org/en/news/press-release/2026/02/23/congo-basin-countries-forge-strategic-path-to-carbon-markets-with-roadmaps-to-monetize-forest-wealth#:~:text=Align%20national%20frameworks%20with%20Paris,climate%20investment%20and%20technical%20partnerships.