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ウッドサイド、ブラウズCCS計画を豪改正環境法下で再申請へ 三井物産・三菱商事も出資参画

2026.04.05 更新 2026.04.06 読了 約5分
ウッドサイド、ブラウズCCS計画を豪改正環境法下で再申請へ 三井物産・三菱商事も出資参画
出典:イメージ

オーストラリアの大手エネルギー企業ウッドサイド・エナジー(Woodside Energy)は2026年3月30日、豪連邦政府の環境許認可プロセスから自社の「ブラウズ炭素回収・貯留(CCS)計画」を一時取り下げたうえで、改正された規制枠組みのもとで早急に再申請する方針を表明した。

改正環境保護・生物多様性保全法(Environmental Protection and Biodiversity Conservation Act、以下EPBC法)への適合が目的であり、同プロジェクトの実現可能性そのものに変化はないと強調した。

取り下げの経緯と法改正の背景

ウッドサイドは、ブラウズCCS計画の申請をEPBCの連邦審査プロセスから取り下げた。改正EPBC法の適用を受けるため、改めて申請書を提出する方針だ。同社の広報担当者は「これは手続き上の措置であり、ブラウズCCSプロジェクトの性質・範囲・意図に重大な変更があったことを意味するものではない」と声明で述べた。

EPBC法の改正措置は2025年11月に議会を通過し、2026年2月20日から施行された。改正により、プロジェクト評価の柔軟性が高まり、重大な変更を要する場合は既存許可を返上して新規申請が可能となった。

なお、プロジェクトは最終承認の一歩手前となる段階でEPBCから取り下げられており、改正前から審査が進んでいた。

プロジェクトの技術仕様とCCS規模

ブラウズCCS計画の核心は、オーストラリア北西部沖合の海底地層へのCO2の大規模圧入である。

連邦申請書類によると、同計画は年間300万〜400万トンのCO2を地質層に圧入することを目指しており、ブラウズ〜ノース・ウェスト・シェルフ(North West Shelf)プロジェクトの排出量を約47%削減する見込みだ。

貯留対象となるキャリアンス貯留層(Calliance Storage Formation)はブルーム沖合約425kmに位置し、海底から約4kmの深度にある。計画ではリザーバー流体から分離されるCO2の少なくとも85%を回収することを目標としており、プロジェクトのライフタイム全体で温室効果ガス(GHG)を約5,300万トン削減できるとしている。

貯留予定のキャリアンス構造は、地質学的なタイムスケールで炭化水素を捕捉・保持できる実績を持ち、CO2の永続的な貯留に適した地層とされている。

高CO2含有ガスとスコープ1排出管理の課題

ブラウズ海底ガス田の大きな課題はCO2含有率の高さにある。CO2濃度は最大12%に達し、多くの在来型ガス田を大幅に上回る高排出プロファイルを持つ。以前であればこのCO2は大気中に放出(ベント)されていたが、現行の政策下では事業者はプロジェクト開始当初から排出管理が義務付けられている。

北西部ノース・ウェスト・シェルフLNG設備は昨年、2070年までの稼働延長が連邦政府から承認されたが、これにより将来のガス供給に伴う排出量への監視が強化された。

事業構造と日本企業の関与

ウッドサイドのブラウズ共同事業体(Joint Venture)のパートナーは、ビーピー(BP)、三井物産(Mitsui & Co.)、三菱商事(Mitsubishi Corporation)、ペトロチャイナ・インターナショナル(PetroChina International)である。

特筆すべきは、三井物産・三菱商事という日本の二大総合商社が同プロジェクトの共同事業体に参画している点だ。両社にとってブラウズCCSは、豪州LNG調達と炭素回収・貯留(CCS)インフラへの投資を同時に進める戦略的案件であり、日本の長期エネルギー安全保障と脱炭素目標の双方に直結する。

同社新CEOのリズ・ウェストコット(Liz Westcott)は2026年3月に就任したばかりであり、ブラウズを概念段階から実行可能な投資案件(バンカブルなプロジェクト)へと移行させる課題を担っている。

豪州CCSをめぐる規制環境とインペックス案件との並行動向

ブラウズと同様に、日本のインペックス(INPEX)もボナパルト(Bonaparte)CCS計画を同じEPBC法改正を理由に取り下げ、再申請予定を表明した。インペックスのボナパルト計画はダーウィン沖合約250kmの海底地層に最大3億トンのCO2を貯留することを目指している。

一方、豪州においてCCSの実績が問われている現状も直視が必要である。シェブロン(Chevron)のゴーゴン(Gorgon)CCS設備は、稼働開始後も炭素回収率が低下を続け、2023〜24年度には目標の3分の1しか回収できなかった。開始以来の累計費用は35億豪ドル(約3,850億円)に達し、相殺できなかった排出量のオフセットコストは2024年時点でトン当たり222〜265豪ドル(約2万4,420円〜2万9,150円)にまで膨らんだ。

豪州には排出量ペナルティも炭素税も存在しないため、大規模CCSを実施する財務的インセンティブが実質的に欠如していることが、業界の根本的な課題として指摘されている。

環境保護団体の懸念

ブラウズ開発の最終的な実現可能性は、スコット礁(Scott Reef)への近接性を懸念する環境保護団体からの強い批判にさらされており、大規模CCSが規制要件と環境基準を同時に満たせるかどうかの試金石となる。

ブラウズCCS案件の再申請は、三井物産・三菱商事にとって対岸の話ではない。両社は炭素回収・貯留(CCS)インフラへの直接投資家として、豪州の規制再編に伴うプロジェクト遅延リスクと向き合う局面に入った。

特にゴーゴン設備の低回収率が示す通り、豪州のCCS実績に対する国際投資家の視線は厳しく、日本企業がScope 3排出量の削減手段としてLNG上流のCCSを評価する際には、技術的・財務的リスクを過小評価しないことが求められる。

GX-ETSやSBTi対応を進める日本企業の調達担当者にとっても、豪州産LNGに付随するCCSの信頼性は調達リスク評価の重要変数となりつつある。

参考:https://www.woodside.com/what-we-do/developments-and-exploration/browse#:~:text=Commonwealth,proposal%20to%20Browse%20to%20NWS.

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カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。