Carbon Directとマイクロソフト、海洋由来CO2除去の高品質基準を公表 拡大するmCDR市場の信頼性確保へ

村山 大翔

村山 大翔

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Carbon Directは4月1日、マイクロソフトとの共同で、海洋を活用した二酸化炭素除去(mCDR)に関する新たな品質基準を発表した。mCDRプロジェクトの開発者やクレジット購入者に向けて、環境面・社会面の影響、モニタリング体制、除去の持続性などを評価する科学的な基準を提示し、責任ある事業展開を後押しする。

この基準は、技術の進展と市場の拡大を受けて策定されたもので、mCDRが気候変動対策の主力手段の一つとして期待される中、安全性・効果・透明性を担保する枠組みづくりが目的とされている。

IPCCによれば、パリ協定の目標を達成するには、今世紀末までに最大1,000ギガトンのCO2除去が必要とされており、海洋由来の除去も年間数十億トン規模への拡大が求められている。

マイクロソフトのエネルギー市場担当シニアディレクター、ブライアン・マーズ氏は「mCDRには、大規模かつ長期的なCO2除去を実現する可能性がある。新しい基準は、環境と社会の両面で高い価値を提供するソリューションの構築を後押しする」と述べた。

基準には以下の観点が含まれる。

  • 地域社会への影響と合意形成
  • 海洋生態系への配慮
  • 追加性とベースラインの設定
  • 測定・報告・検証体制の整備
  • 炭素の貯留期間(耐久性)
  • 排出の「漏れ」の管理

Carbon Directのチーフサイエンスオフィサー、マシュー・ポッツ博士は「mCDRは今、重要な転換点にある。大規模な海洋空間と膨大なデータが必要なこの領域で、安全かつ実効的な運用には明確な基準が欠かせない」と強調する。

両社は、今回の基準を今後も毎年更新し、mCDRの健全な成長と高信頼のカーボンリムーバル市場の形成に貢献していく方針だ。

引用:https://www.carbon-direct.com/press/carbon-direct-releases-criteria-for-high-quality-marine-cdr-in-collaboration-with-microsoft