ドイツ・ミュンヘンの投資会社ウォルデッグ・エクイティ・パートナーズ(Waldegg Equity Partners)は20日、直接空気回収(DAC)技術を手掛ける独フィレア(Phlair)と、複数年にわたり自社排出を永続的に除去・貯留するカーボンクレジット購入契約を締結した。
PEファンドとしては世界初、DAC由来のカーボンクレジットのオフテイク契約であり、契約量はカナダに建設予定の商業用DACプラント「Dawn」による年2万トンのCO2除去枠の一部を占める。
ウォルデッグは「投資リターンの一部を気候対策に再投資する」方針を掲げ、自社の排出だけでなく、将来はポートフォリオ企業の製品・サービス由来排出もDACで回収する構想を示した。ファビアン・キーフレ共同創業者は「『排出再捕捉』こそ最大の課題であり、テクノロジーによる迅速な解決が不可欠だ」と語った。
契約は前払型のクレジット購入で、フィレアが2027年稼働予定の「Dawn」から排出権を供給する。Dawnは世界初の「太陽光直結型」DAC設備で、化学エネルギー貯蔵システムにより昼間の余剰電力を活用し、夜間のバッファーコストを削減する。
フィレアのマルテ・フェヒトCEOは「PE業界からの初参入は、市場の裾野を大きく広げる転換点だ」と強調した。従来の購入者はグーグルやマッキンゼーなど巨大テック・金融が中心だったが、中規模ファンドの参入は「CDRはフォーチュン500専用ではない」ことを示す、と同氏は指摘した。
ウォルデッグは2025年内にも「自然財団」を立ち上げ、追加のカーボンクレジット購入や森林プロジェクトへの投資を検討する予定だ。
フィレアはカナダ・アルバータ州でパイロット稼働中のスタートアップDeep Skyとの連携も視野に入れ、CDRサプライチェーン強化を図る。
参考:https://phlair.com/news/waldegg-equity-partners?trk=public_post_comment-text