カーボンクレジット認証を手がける非営利団体ベラ(Verra)は、プロジェクト審査依頼に関する新しいサービス水準契約(SLA)を発表した。新制度では、依頼の種類や適用プログラムに加え、新たに導入された「複雑度係数(complexity factor)」に基づいて審査期間を算出する仕組みを採用。登録、検証、カーボンクレジット発行の更新といった各プロセスの完了時期を、従来よりも具体的に予測できるようにした。
新しいSLAは2025年11月1日から発効し、ベラの「プロジェクト・トラッカー(Project Tracker)」上で公開されている。これにより、審査依頼者(プロポーネント)は、審査進行状況や完了見込みをより正確に把握できるようになる。
ベラは2024年2月から、審査期間に関するベンチマークを確立するため、平均処理時間とSLAを「ベラ・プロジェクト・ハブ(Verra Project Hub)」で公表してきた。今回の改訂では、初回・第2回・第3回といった審査ラウンドごとの期間を明確に区分し、情報開示の精度を高めた。
複雑度係数は、各プロジェクトの特性をもとに審査期間を補正するもので、通常・高・非常に高の3段階で分類される。
- 要素が1つ存在する場合、通常の審査期間に1.25倍を乗じた「高複雑度」審査となる。
- 要素が2つ以上の場合は1.5倍となり、「非常に高い複雑度」として扱われる。
なお、審査の遅延がベラの管理外の要因による場合は、SLAの適用外とされる。依頼者にはその旨と理由が通知され、こうした案件の審査時間は平均算出から除外される。
ベラは2025年10月以降に提出された審査依頼について、複雑度の記録を開始しており、新しい算出方式による3カ月移動平均値は約6カ月後に反映される見通しである。
この改訂は、プロジェクト開発者に対する透明性と予見可能性を高め、カーボンクレジットの信頼性確保を狙った動きとみられる。
参考:https://verra.org/program-notice/verra-releases-updated-service-level-agreements-for-project-review-requests/