カーボンクレジットの世界最大手認証機関である米ベラ(Verra)は2026年2月18日、サバンナ火災管理に関する新たな排出削減手法案(開発ID:CN0135)を公開し、意見公募を開始した。
本手法は、乾季後半の激しい火災を乾季前半の制御された野焼きに転換することで、強力な温室効果ガスであるメタン(CH4)と一酸化二窒素(N2O)の排出を抑制するものである。
本手法案の核心は、火災の発生時期を意図的に前倒しする点にある。アフリカ、オーストラリア、南米などの広大な木本サバンナでは、乾季後半に自然発生する火災が深刻な排出源となっている。これを乾季前半の「計画放火(Prescribed Burns)」に置き換えることで、火災の強度を下げ、焼失面積を最小化する。これにより、燃焼に伴う非二酸化炭素温室効果ガスの排出を大幅に低減させる仕組みである。
技術的側面においては、リモートセンシングや植生マッピング、動的なパフォーマンス・ベンチマークを用いた高度なモニタリング体制が導入される。特筆すべきは、木本のない草原を対象外とする厳格な適格性基準だ。これは、樹木が過剰に密集する「ウッディ・シックニング(木本混み合い)」などの生態学的副作用を防止し、生物多様性との整合性を確保することを目的としている。
本手法は、インターナショナル・サバンナ・ファイア・マネジメント・イニシアチブ(ISFMI)およびマキ・プラネット・システムズ(Maki Planet Systems)によって共同開発された。オーストラリアでは先行して同様の手法が国内制度に採用されており、先住民コミュニティに多額の収益をもたらしてきた実績がある。
世界的なボランタリーカーボンクレジット市場(VCM)において、自然由来の解決策(NbS)への信頼性が問われる中、最新の科学的知見に基づいた本手法の導入は、グローバルサウスにおける高品質なカーボンクレジット創出を後押しする。
サバンナ火災管理は、排出削減だけでなく、先住民の雇用創出や伝統的知見の継承といったコベネフィットが非常に高い。豪州の先行事例では、年間数百万ドル(数億円規模)のクレジット収入が地域社会に還元されている
。アフリカ市場への進出を検討する日本企業や、サステナブル投資を重視する投資家にとって、この新手法に基づくプロジェクトは、生物多様性保全と気候変動対策を両立する有力な選択肢となるだろう。
参考:https://verra.org/consultation-methodology-for-savanna-fire-management/
