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Verra、大気モニタリング測定・報告・検証ツールを含む方法論3件を保留措置 資源制約とICVCM対応が背景

2026.04.07 読了 約3分
Verra、大気モニタリング測定・報告・検証ツールを含む方法論3件を保留措置 資源制約とICVCM対応が背景
出典:イメージ

ボランタリーカーボンクレジット市場における最大規模の認証機関であるベラ(Verra)は、2026年4月初旬、開発中の方法論3件を保留(オンホールド)とした。対象はVCSプログラムの方法論候補ノート(MIN)2件および開発中ツール1件であり、ベラの「方法論開発・審査プロセス(MDRP)」に基づく措置と説明されている。

保留となった3件の概要

①大気観測ベースの測定・報告・検証ツール(M0444)

2026年4月1日付で保留となったM0444は、大気観測を用いてプロジェクトエリア全体の排出削減量・炭素除去量・炭素ストック変化量をリアルタイムで継続的に定量化する手法を確立するツールである。地表と大気間の温室効果ガス(GHG)交換を直接計測する「大気ベースの測定・報告・検証(aMRV)」手法を採用するものとして注目されていた。

②海洋沖合ゼロGHG排出のための方法論(M0250)

こちらはMINの段階で保留となった案件で、ディーゼル動力の船舶・機器を電動化した海洋沖合設備に置き換えるプロジェクト活動を対象とする。再生可能エネルギーで稼働する電動ボートとその関連機器の運用・保守についても適用範囲に含まれる。すべての地域の海洋オペレーションに適用可能な設計とされていた。

保留の理由は開発プロセスを主導するためのデベロッパー側のリソース(人材・専門性・資金)不足。再評価は2026年Q1とされており(同Qは既に経過)、その後の正式な再開アナウンスは現時点では確認されていない。

③VM0036(排水された温帯泥炭地の再湿潤化手法)改訂案

2024年12月19日に保留となったこの改訂案は、フィンランドの自然資源研究所(ルーケ、Luke)が開発を進めていた。

保留の条件として、追加性とベースライン設定アプローチの更新に関するリスク対処、リソース確保、他のVCS方法論開発業務との優先順位付けが挙げられている。

3つの構造的課題

ベラがMDRPに基づき方法論を保留とする背景には、以下の構造的要因が繰り返し示されている。

第一に、内部リソースの制約。ベラは自組織が方法論開発をより主導するモデルへとシフトしており、内部の処理能力と技術的専門知識のバランス確保が課題となっている。

第二に、戦略的優先順位の集中。ベラはREDD+フレームワークなど既存の主要方法論の更新に注力しており、新規提案の開発を後回しにせざるを得ない局面にある。

第三に、独立専門家審査への対応。MDRPの最新改訂では、自発的カーボンクレジット市場の誠実性協議会(ICVCM)が定めるコアカーボン原則(CCPs)との整合性を求める独立専門家審査の要件が強化されており、各方法論が満たすべきハードルが実質的に上昇している。

今回の3件の保留は、ベラの方法論開発能力がICVCMのCCPsラベル取得要件の高度化に追いついていない構造的な摩擦を示している。特にM0444の大気ベースaMRVツールは、人工衛星やリモートセンシングを活用した次世代のデジタル測定・報告・検証(dMRV)基盤として位置づけられるものであり、日本のGX-ETS下でのJ-クレジット制度の精度向上や二国間クレジット制度(JCM)の測定精度強化を模索する事業者・政策立案者にとっても注目すべき開発案件だった。

再開時期となる2026年Q3の動向を注視したい。

参考:https://verra.org/program-methodology/vcs-program-standard/vcs-program-methodologies-under-development/?_sfm_status=7.%20On%20Hold

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カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。