米国の主要なカーボンクレジット基準管理団体であるベラ(Verra)は12月4日、改善された森林管理(IFM)プロジェクト向けの新手法「VM0045」に基づき、初となる「コア・カーボン・プリンシプル(CCP)」ラベル付きカーボンクレジットを発行したと発表した。ICVCMによる承認を受けたこの手法は、実際の森林データを活用した動的なベースライン設定を特徴としており、市場が求める「高品質なカーボンクレジット」の供給に向けた重要なマイルストーンとなる。
今回カーボンクレジットが発行されたのは、米森林財団(American Forest Foundation、AFF)がザ・ネイチャー・コンサーバンシー(The Nature Conservancy)の支援を受けて開発した「セントラル・アパラチア・ファミリー・フォレスト・カーボン・プログラム」である。合計1万8,326トンの検証済み炭素ユニット(VCUs)が発行された。同プロジェクトは当初、手法のバージョン1.1の下で開発されていたが、開発者のAFFはICVCMの承認を受けたバージョン1.2へ自発的に移行しており、環境十全性と質の高いカーボンファイナンスへの強いコミットメントを示した形だ。
適用された手法「VM0045」は、米国林野局の森林インベントリ分析(FIA)データベースなど、継続的にモニタリングされる実世界のデータを使用する点が画期的である。これにより、過去の傾向に基づく予測ではなく、実際の近隣森林の状況と比較する「動的ベースライン」を確立し、炭素会計の精度を飛躍的に高めている。
また、この手法は技術的な厳格さだけでなく、市場アクセスの改善という側面も持つ。従来、高額なコストや手続きの複雑さを理由にボランタリーカーボンクレジット市場への参入が困難であった小規模な土地所有者に対し、森林保全による収益化の機会を提供するものだからだ。
ベラのマンディ・ランバロスCEOは声明で、「VM0045は最高の気候厳格性基準を満たすだけでなく、農村部の土地所有者が革新的かつ効果的な方法で気候変動対策に参加する道を開くものだ」と述べ、イノベーションと十全性の両立による成果を強調した。
現在、VM0045は米国のデータを用いているが、本質的にはグローバルな適用が可能な枠組みである。ベラは、同様の国家森林インベントリ・データセットが存在する他国のプロジェクト開発者もこの手法を利用できるよう、各国のデータ適用に向けた追加作業を進めている。
参考:https://verra.org/verra-issues-first-ccp-labeled-credits-under-improved-forest-management-ifm-methodology/

