Verraが2025年決算で赤字を大幅圧縮 100万ドル未満に抑制し財務基盤を回復

村山 大翔

村山 大翔

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カーボンクレジットの世界的な認証機関であるベラ(Verra)は1月28日、2025年度の純損失が100万ドル(約1億5,000万円)未満にまで縮小したと発表した。前年度に記録した1,940万ドル(約29億1,000万円)の赤字から劇的な回復を遂げ、実質的な損益分岐点付近まで到達した。マンディ・ランバロス最高経営責任者(CEO)の下で断行された徹底した支出管理と、手数料収入の増加が寄与した形だ。

同日に開催されたステークホルダー向けウェビナーにおいて、ベラは2025年度の暫定決算を公表した。

総支出は前年度の4,713万ドル(約70億7,000万円)から約3分の1を削減し、3,100万ドル(約46億5,000万円)まで抑制された。一方で総収入は、手数料収入の堅調な伸びと開発助成金の新たな収益化により、前年度の2,776万ドル(約41億6,000万円)を上回る3,000万ドル(約45億円)超を確保した。

ベラの最高経営責任者(CEO)であるマンディ・ランバロス氏は「就任時、財務の安定化は最優先課題の一つだった。2025年に行った苦渋の決断が、組織を正しい軌道へと修正させた」と述べた。さらに同氏は「ベラは現在、強固な現金準備金を背景に持続可能な財務基盤を構築している」と指摘し、2,300万ドル(約34億5,000万円)の現預金を維持していることを強調した。

今回の財務改善は、カーボンクレジット市場全体の発行環境が低迷する中で達成された点が注目される。

ベラは過去数年、認証プロセスの厳格化やデジタルレジストリの刷新に向けた先行投資を続けてきたが、それらが経営を圧迫していた。2025年度はこれらの投資フェーズが一段落し、効率的な運営体制への移行が進んだものとみられる。

今後の焦点は、2026年度に向けた次世代レジストリへのアップグレードと、市場の信頼回復に向けた新たな方法論の適用だ。ベラは年次報告書の公開時に最終的な確定数値を公表する予定であり、透明性の高い情報開示を通じて、炭素除去(CDR)を含むクレジット供給の再拡大を急ぐ構えを見せている。

今回の発表は、ボランタリー炭素市場(VCM)の信頼性が揺らぐ中で、最大手であるベラ(Verra)が「沈没」の危機を脱したことを意味する極めて重要なニュースだ。2024年の巨額赤字は、過剰な投資と批判への対応コストが重なった結果だったが、わずか1年で損益分岐点まで戻したことは、市場のインフラとしての持続可能性を示している。

特に日本企業にとって注目すべきは、ベラが「開発助成金」を新たな収益源としている点だ。これは単なるクレジット発行手数料に依存しないビジネスモデルへの転換を示唆している。

今後は、健全な財務背景を武器に、より厳格かつ迅速な審査体制が構築されることが期待される。これは、高品質なクレジットを求める日本企業にとって、供給の安定化という観点からポジティブな動きと言えるだろう。

参考:https://verra.org/verra-strengthens-financial-position/#:~:text=28%20January%202026,continue%20to%20grow%20in%202026.