ニューヨーク州、温室効果ガス排出データの義務報告制度案を公表 7月1日まで意見募集

村山 大翔

村山 大翔

「ニューヨーク州、温室効果ガス排出データの義務報告制度案を公表 7月1日まで意見募集」のアイキャッチ画像

ニューヨーク州環境保全局(DEC)は、州内の主要排出源に対し、温室効果ガス(GHG)の排出状況を義務的に報告させる新たな制度案を3月26日に発表した。報告対象は一定規模以上の事業所や燃料供給業者などで、排出量データの収集により州の脱炭素政策の精緻化を図る。公的な意見募集期間は4月2日から7月1日までで、説明会と公聴会も順次開催される。

この制度は、報告のみを目的としたもので、削減義務や排出枠の取得を求めるものではない。対象施設は、年間1万トン以上のCO2換算排出が見込まれる電力施設や埋立地、燃料供給事業者、廃棄物輸送業者、肥料供給者、畜産排水処理施設など多岐にわたる。排出量の報告は2027年6月から始まり、前年度分のデータを提出する。大規模施設には第三者認証も義務づけられる。

DECは、連邦政府の排出規制見直しの動きに対抗し、州独自の制度によって重要なデータの継続的な確保を図るとしている。また、既存の州・連邦の報告制度との整合性を取り、企業の負担軽減にも配慮している。報告支援のため、簡易な排出推計ツールやオンライン報告プラットフォームの提供も予定されている。

本制度は、州が進める「持続可能な未来プログラム」(総額10億ドル)の一環として位置づけられており、公平かつ効果的なクリーンエネルギー移行を下支えする基盤とされる。将来的に導入が検討されている排出枠制度との連携も視野に入れた取り組みだ。

規則案全文と補足資料はDECの公式サイトで公開されており、意見提出方法や各種公聴会の詳細も随時案内される予定。オンラインによる説明会は6月18日に予定されている。

参照:https://dec.ny.gov/news/press-releases/2025/3/dec-releases-draft-regulations-to-collect-greenhouse-gas-emissions-data