CO2除去開発の印VarahaがシリーズBで30億円の資金調達 グローバルサウスでのCDR事業を加速

村山 大翔

村山 大翔

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インドに拠点を置く炭素除去(CDR)開発の最大手ヴァラハ(Varaha)は2026年2月4日、シリーズBラウンドの第一弾として2,000万ドル(約30億円)の資金調達を実施したと発表した。

本ラウンドはベンチャーキャピタルのウエストブリッジ・キャピタル(WestBridge Capital)が主導し、アジアやアフリカなどのグローバルサウスにおける気候変動対策事業の拡大を目的としている。同社は2026年1月にマイクロソフト(Microsoft)と大規模な供給契約を締結したばかりであり、今回の資金注入により、低コストかつ高品質な炭素クレジットの供給体制をさらに強化する構えだ。

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今回の2,000万ドル(約30億円)は、総額4,500万ドル(約67億5,000万円)を予定しているシリーズBラウンドの一部であり、ウエストブリッジ・キャピタルにとっては初の気候テック(Climate Tech)分野への投資となる。

投資には既存株主であるアールティーピー・グローバル(RTP Global)やオムニボア(Omnivore)も参加した。ヴァラハはこれまでに株式で約3,300万ドル(約49億5,000万円)、プロジェクトファイナンスで3,500万ドル(約52億5,000万円)を調達しており、アジアを代表するCDRプロジェクト開発者としての地位を固めている。

ヴァラハの事業は、バイオ炭、風化促進(ERW)、再造林、環境再生型農業といった多角的な手法を軸としている。同社はこれまでに14の稼働済みプロジェクトを通じて200万トン以上の二酸化炭素(CO2)を回収し、約15万トンのCDRクレジットを発行してきた。特にインド国内で初めてバイオ炭クレジットを発行し、アジアで初めて国際的な登録機関を通じてERWクレジットを発行するなど、市場の先駆者として存在感を示している。

同社の強みは、現地の農家と提携し、持続可能な農業や林業の技術指導を行いながら、科学的根拠に基づいた高品質なクレジットを創出する点にある。上記の通り、2026年1月には、マイクロソフト(Microsoft)に対し、3年間で10万トン以上の炭素除去量を提供する契約を締結した。顧客リストにはグーグル(Google)やルフトハンザ航空(Lufthansa)といった世界的企業が名を連ねており、今回の増資を主導したウエストブリッジ・キャピタルは「ヴァラハは初期段階のカテゴリーにおいて深い科学的信頼性と、商業的に実行可能なモデルを両立させている」と、投資の意義を強調した。

ヴァラハは今後、調達した資金を用いてグローバルサウスでのプロジェクトをさらにスケールアップさせる計画である。欧米発の技術に比べて低コストで検証済みの排出削減量を提供することで、ボランタリーカーボンクレジット市場における競争力を高める狙いだ。

市場では、2026年後半にかけて発表される予定の次期プロジェクトの進捗と、さらなる大手企業との長期供給契約の成否に注目が集まっている。

今回のヴァラハによる大型調達は、炭素除去(CDR)市場の主戦場が「北半球の先進技術」から「グローバルサウスの自然資本」へとシフトしつつあることを象徴している。

特に注目すべきは、価格競争力。DAC(直接空気回収)などの高コストな技術が1トンあたり数百ドルを要する中、ヴァラハが提供するバイオ炭やERWは、低コストかつ大規模に展開可能な「現実的な選択肢」としてマイクロソフトのような大口バイヤーを惹きつけている。

日本企業にとっても、アジア近隣での高品質なクレジット調達先として、同社の動向は無視できないものになるだろう。

参考:https://www.linkedin.com/posts/westbridgecapital_we-believe-high-integrity-carbon-removal-activity-7424713944424038400-6QBR/