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回収CO2を工業薬品に転換、クイーンズランド大学が電気化学装置を開発

2026.06.01 読了 約3分
回収CO2を工業薬品に転換、クイーンズランド大学が電気化学装置を開発
出典:<a href="https://news.uq.edu.au/2026-05-uq-tech-turns-captured-co2-valuable-chemicals" target="_blank">クイーンズランド大学</a>

クイーンズランド大学(University of Queensland、UQ)の研究チームが、回収したCO2と水、電力のみを用いてギ酸の基礎化合物であるギ酸塩を生成する電気化学装置を開発した。化石燃料に依存する従来の化学品製造に代わる、低排出の製造経路となりうる。

装置を開発したのは、UQ化学工学部のシワン・チャン(Xiwang Zhang)教授、マイク・テビエテケルワ(Mike Tebyetekerwa)博士、博士課程学生のリザル・エバンス(Rizal Evans)氏である。電力で駆動し、水と回収CO2を投入するだけでギ酸塩を生成する。チャン教授は、CO2を単なる廃棄物ではなく再利用可能な原料として扱える点を装置の本質と位置づけている。

ギ酸の国内生産と供給網強靭化

ギ酸は農業、皮革なめし、ゴム製造、繊維、医薬品など幅広い産業で用いられる。オーストラリアはその大半を輸入に依存しており、国際的な供給途絶に対して脆弱な状態にある。

本装置はモジュール式の構成を採り、需要に応じて規模を増減できる。テビエテケルワ博士は、大量のギ酸を輸送・貯蔵する代わりに、必要とされる現場で生産する構想を示す。これは安全性、供給安定性、そして排出量の面で意味を持ち、特に操業の過程でCO2を排出する産業にとっては、自社の排出源を原料供給に転用できる可能性がある。

実用面では、ある資源会社がパイプラインの不凍液用途でのギ酸生産に関心を示しているという。

実用化は実証試験を残す段階

エバンス氏によれば、用途は農業・畜産から資源・エネルギー分野まで広がりうる。ただし装置は現時点で試験段階にあり、商用利用には達していない。

実環境での性能評価と、産業ごとの仕様への適応には、産業パートナーとのフィールド試験が必要となる。研究はオーストラリア研究評議会(Australian Research Council、ARC)の二酸化炭素のグリーン電気化学的変換に関する卓越センター(GETCO2)の支援を受けている。

編集部の視点

本件は、CO2を化学品原料へ転換するCO2利用(CCU)技術の事業化に向けた一歩として位置づけられる。ただし、ラボ段階で進む同種の研究成果の一つであり、市場構造を即座に動かす転換点ではない。

CO2を扱う技術はラボレベルで着実に成熟しつつあり、今後数年で商用化に向けた競争が加速する。この分野では、技術の優劣そのものよりも、カーボンクレジットのオフテイク契約に代表される資金循環の構築が開発速度を左右するだろう。本装置のように実証試験を残す技術にとっても、産業パートナーとの提携を通じて資金の流入経路を確保できるかが、研究室から市場への移行を決める。

参考:https://news.uq.edu.au/2026-05-uq-tech-turns-captured-co2-valuable-chemicals

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カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。