英政府、スコットランドのCO2回収・貯留事業に4,000億円規模投資を決定

村山 大翔

村山 大翔

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英国政府は12日、スコットランド北東部セントファーガスで進む炭素回収・貯留(CCS事業「Acorn」に対し、2億ポンド(約4,200億円)を新たに投資すると発表した。2050年の温室効果ガス(GHG)排出量実質ゼロ達成へ向け、エネルギー多消費型産業の排出削減を後押しする狙いだ。

Acornはストレッガ、シェルUK、ハーバー・エナジー、ノースシー・ミッドストリーム・パートナーズが共同で開発しており、産業施設から排出される二酸化炭素(CO2)を回収し、既存の海底パイプラインを活用して北海の地下に圧入・貯留する計画だ。

ストレッガのティム・ステッドマン最高経営責任者(CEO)は「今回の支援は最終投資決定(FID)に必要な工程を前進させ、スコットランドのCCS基盤構築と英国全体の産業成長に大きく寄与する」と強調した。

エド・ミリバンド英エネルギー安全保障・ネットゼロ相も「本資金はスコットランドとハンバー地方の産業再生を支え、質の高い技能職を創出し、クリーンエネルギー国家の礎を築く」と声明で述べた。

政府は同時に、イングランド北部ハンバー地域の「Viking」CCS計画への支援方針も示した。両プロジェクトが稼働すれば年間最大1,800万トンのCO2を削減できると試算する。

今回の拠出は、歳出見直しで示したCCS向け94億ポンド(約2兆円)枠の一部で、政府は今後25年間で217億ポンド(約4兆6,000億円)を同技術に投じる計画だ。

Acornは2026年のFID取得を目指し、早ければ2029年に初期稼働を予定する。英国が掲げる2030年までに年間2,000万~3,000万トンのCCS導入目標達成のカギを握るだけに、今後の環境認可や財務クローズの行方が注目される。