8月1日、英国の森林カーボンコード(Woodland Carbon Code)が改訂された。新しいバージョンは、小規模農地やクロフト(共同農地)でも参加しやすくなるよう制度が見直されており、国際的な基準とも整合性を持たせている。これまでに3万3,000ヘクタール以上の森林がこの制度のもとで整備され、1,080万トンのCO2削減が見込まれている。
森林カーボンコードは、森林を新たに作ることでCO2を吸収し、その削減量をカーボンクレジットとして認証する英国の制度で、2011年に始まった。
今回の「バージョン3.0」では、最近の研究や現場からの意見を取り入れ、より使いやすい制度に生まれ変わった。主な変更点は以下のとおり。
- クロフト(共同農地)でもプロジェクトが始めやすくなった
- 10ヘクタール以下の小規模な森林づくりには簡単な手続きが導入された
- 申請に必要な情報やガイドラインがわかりやすくなった
- 国際基準に合わせて、最低プロジェクト期間が見直された
- 炭素量の計算や収支シミュレーションに使うデータが更新された
- 調査方法や申請書の書式も見直された
スコットランド農業担当のメアリ・グージョン氏は、「この制度は、英国政府が公式に認める高品質なカーボンクレジット制度。改訂により、小規模な森林づくりにも門戸が広がる」と語った。スコットランドではすでに500件以上のプロジェクトが承認され、森林面積は合計3万3,000ヘクタールにのぼる。
ウェールズ副首相のヒュー・イランカ=デイヴィス氏は、「森林づくりは、農家の新たな収入源にもなる。制度が簡単になったことで、より多くの人に活用してほしい」とコメントした。
北アイルランドの環境担当相アンドリュー・ミュア氏も、「今回の見直しで、制度の透明性と信頼性が高まり、より多くの人が参加しやすくなった」と述べた。
この制度は、スコットランド森林庁が英政府およびスコットランド、ウェールズ、北アイルランド各政府を代表して運営している。制度開始以来、合計3万8,705ヘクタールの森林が整備され、1,300万トンのCO2削減が期待されている。