イギリスのDESNZ(エネルギー安全保障・ネットゼロ省)は、GGR(温室効果ガス除去)技術の可能性と課題を評価するため、独立した見直しを開始した。5月16日に公表されたこのレビューは、2050年のネットゼロ達成を目指す政策立案の基盤として、BECCS(バイオエネルギーCCS)やDACCS(直接空気回収CCS)などを含むGGR技術を対象とする。
レビューは、政策立案者、開発者、オフテイカー、専門家など多様な関係者とのラウンドテーブルや直接面談を通じて進められる。また、一般や事業者からの意見提出も受け付けるパブリックコメントが6月20日まで実施されている。
DESNZは廃棄物分野を重点領域に指定しており、EfW(エネルギー回収型廃棄物処理)施設でのBECCS導入により、廃棄物燃焼に由来するCO2を回収を期待している。CCC(気候変動委員会)は、この技術により2050年までに年間最大500万トンのCO2除去が可能と試算している。
レビューは、2026年からEfWを対象に拡大されるUK ETS(英国排出量取引制度)や、2028年からの完全な炭素価格制度導入、さらに同年からのイングランドにおける生分解性廃棄物の埋立禁止検討とも連動している。これにより、BECCSの原料となる食品廃棄物や紙、木材、繊維などバイオ起源物の確保が期待される。
BECCSやDACCSに加え、コンポスト化など自然ベースのGGR手法もレビュー対象に含まれる。これにより、埋立地からのメタン排出を削減し、広範な脱炭素戦略の一環として位置付けられている。