デンマーク「ビフロストCCS計画」 TotalEnergiesに独SCHWENKが参画、欧州CO2貯留ハブ拡大へ

村山 大翔

村山 大翔

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フランスの総合エネルギー企業トタルエナジーズ(TotalEnergies)は、子会社トタルエナジーズE&Pデンマークを通じて、ドイツのセメント大手シュヴェンク(SCHWENK)傘下のカーボンボールト(CarbonVault)と、炭素回収・貯留(CCS)事業「ビフロストプロジェクト」に関する出資契約を締結した。
トタルエナジーズが運営主体として45%、カーボンボールトが35%、デンマーク国営のノーソーフォンデン(Nordsøfonden)が20%を保有する構成となる。

ビフロスト計画は、デンマーク西岸から約200キロ沖合の北海に位置し、ハーラルド東西ガス田およびダグニー塩水帯水層を含む約2,100平方キロメートルの海域を対象とする。老朽化したガス田と深部帯水層を組み合わせ、長期的なCO2貯留を実現する。
本計画では、北欧および欧州の重工業から排出されるCO2を船舶やパイプラインで輸送し、2030年までに年間500万トン規模の貯留を目指す。

トタルエナジーズのカーボンニュートラル・新事業担当シニアバイスプレジデント、アルノー・ル・フォル氏は「カーボンボールトという新たなパートナーと共に、デンマークが掲げる欧州CO2貯留ハブ構想の中核を担うビフロスト計画を成功に導きたい」と述べた。

カーボンボールトの親会社シュヴェンクは、欧州主要セメントメーカーの一つで、排出削減が困難な業種の中で脱炭素化を推進している。同社にとってビフロストは、自社工場から排出されるCO2を安定的に処理・貯留する戦略的インフラとなる。
この連携により、トタルエナジーズはCCS事業者として産業排出源の脱炭素化支援を拡大し、顧客企業のScope1、Scope2排出削減に貢献する形を示した。

トタルエナジーズは、ノルウェーのノーザンライツ、英国のNEP、米国のバイユーベンド、オランダのアラミスなど、欧米各地で大規模CCSプロジェクトを展開している。ビフロストはその北海戦略の一環であり、欧州産業のCO2削減を支える主要拠点として位置づけられる。

取引の完了は、デンマーク当局の規制承認など通常の条件を経た後に正式発効する見通しだ。

参考:https://totalenergies.com/news/press-releases/denmark-totalenergies-welcomes-partner-and-future-customer-bifrost-ccs-project