Total Energies、小規模林業者と連携し米南部でカーボンクレジット創出 自社Scope1,2のオフセット活用へ

村山 大翔

村山 大翔

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フランスのエネルギー大手トタルエナジーズ(TotalEnergies)は7月22日、米アーカンソー州の森林プロジェクト会社ネイティブステート(NativState)と提携し、森林の保全と管理によって二酸化炭素(CO2)を除去する新たな取り組みを始めた。アメリカ南部4州に広がる私有林で、カーボンクレジットを2030年以降に活用する計画で、投資規模は約1,600億円にのぼる。

このプロジェクトでは、アーカンソー、ルイジアナ、ミシシッピ、テネシーの各州にある約10万ヘクタール(247,000エーカー)の森林が対象となる。土地の転用や過度な伐採のリスクが高い地域で、森林の健全な管理を進めることでCO2を吸収し、その量に応じたカーボンクレジット(排出削減・除去の証明書)を生み出す。

森林の管理方法は「改善型森林管理(IFM)」と呼ばれ、ネイティブステートがプロジェクト全体を統括する。280以上の家族経営の林業者が参加し、カーボンクレジットの収益が新たな収入源になる。加えて、持続可能な林業の技術や知識も無償で提供される。

この取り組みによって、貴重な森林の破壊を防ぐだけでなく、生物の多様性や野生動物の生息地、川沿いの自然環境も守られる。

トタルエナジーズは、今回得られるカーボンクレジットを自社の事業活動(Scope 1,2の排出)におけるオフセットとして活用する予定だ。同社は「自然由来の炭素除去(CDR)」に年間1億ドル(約1,600億円)を投じ、2030年までに年間500万トン分のカーボンクレジットを生み出す目標を掲げている。

同社の担当副社長アドリアン・アンリ氏は「森林を守ることは、地球だけでなく地域の人々の生活にも大きな意味がある」と語った。

ネイティブステートの創業者スチュアート・アレン氏も「TotalEnergiesとの協力は、小規模な林業者が環境を守りながら安定した生活を築く大きな一歩だ」と強調した。

今回の提携は、CDRにとどまらず、地域社会の活性化と自然の再生を同時に実現するモデルとして注目されている。

参考:https://nativstate.com/total-energies/