1,000万トンのCO2回収能力、Samsung E&Aとの連携でグローバル展開へ
カーボンキャプチャー技術を手がけるカナダのSvante Technologies Inc.は2025年5月、英コロンビア州バーナビーに建設した「Redwood製造施設」の稼働開始を発表した。これは世界初の商業用カーボンキャプチャー&リムーバルフィルター製造ギガファクトリーであり、年間1,000万トンのCO2を除去可能なソリッドソルベントベースのフィルターを量産する。
同施設は14万平方フィートの規模で、高濃度CO2排出産業に対応した次世代フィルターを製造。金属有機構造体(MOF)をコーティングした独自の構造吸着材が用いられ、コスト効率と耐久性の両立を実現している。
同日、Svanteは韓国Samsung E&Aと共同で、スキッドマウント型のモジュール式カーボンキャプチャープラントを開発・提供する提携を発表。プロジェクト初期段階からエンジニアリング、調達、製造(EPF)まで一括対応する体制で、重工業・エネルギー分野の大規模排出源向けに商用ソリューションの迅速な導入を図る。
さらに、Svanteの技術はClimeworksとの連携により、スイスでのDAC実証にも活用されている。2025年初頭までに1,300回以上のサイクルを通じて、CO2吸着容量を2倍、エネルギー消費を半減させる成果が確認された。これは現場実証としては世界初のスケールであり、DAC産業の成熟化に向けた転機となる。
Redwood施設の建設には1億4,500万ドルの資金が投じられ、Chevron、United Airlines、Samsung E&A、GE Vernova、カナダ成長ファンドなどの戦略的投資家が支援。今後10年間で複数のギガファクトリー建設も視野に、グローバルなカーボンマネジメント市場への対応を進める。
Svanteのクロード・ルトゥルノーCEOは「本施設は、CO2の物理的市場を構築し、排出管理産業をスケールさせるための重要なインフラになる」と述べ、製造と実装の両輪で気候変動対応を牽引する姿勢を強調している。