Standard Chartered ブラジル・アクレ州と提携 森林保護クレジットを独占販売

村山 大翔

村山 大翔

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英国の大手銀行スタンダードチャータード(Standard Chartered)は8月7日、ブラジル・アマゾン熱帯雨林のアクレ州と5年間の協定を結び、森林保護のためのカーボンクレジットを市場に提供すると発表した。2026年には最大500万クレジットが発行され、同社が独占的に販売する。

今回扱うのは、州全域を対象に政府が管理する「ジュリスディクショナル型REDD+クレジット」。個別プロジェクト型と違い、州全域での森林保全活動を対象とするため、環境面での信頼性が高いとされる。クレジットはART(Architecture for REDD+ Transactions)レジストリに登録され、TREES手法を用いて発行される。この手法はICVCMの承認を受けている。

売上の72%は先住民や地元住民に還元され、持続可能な農業、二次林の再植林、環境に配慮した観光事業などに充てられる。残りの28%はプロジェクト運営や森林の監視、気候災害への緊急対応などに使われる。

アクレ州のアマリシオ・フレイタス財務局長は「この協定は、自然を守りながら経済と社会の発展を進めるための有効な手段だ」と述べた。
スタンダードチャータードのマリサ・ドリュー最高サステナビリティ責任者も「新しい市場メカニズムを活用しなければ森林は守れない」と警鐘を鳴らした。

この取り組みは、大手国際銀行と州政府が連携して森林保護型クレジットを取引する、ブラジルでの先駆的事例だ。COP30に向け、同国が掲げる「2030年までに森林破壊を止める」という目標を後押しすることになる。

さらに、カーボンデータ企業シルヴェラによる第三者評価が進行中で、ブラジルの州単位プログラムとしては初の独立検証となる。これにより市場の信頼性向上が期待されている。

参考:https://www.sc.com/en/press-release/standard-chartered-and-brazilian-state-of-acre-to-bring-high-integrity-carbon-credits-to-market-to-support-forest-conservation/