South Pole、 永続性CDRに特化した国際買い手組織を設立 2026年に始動へ

村山 大翔

村山 大翔

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スイスのカーボンファイナンス企業サウスポール(South Pole)は9月17日、永続性の高い技術系炭素除去(CDR)への資金調達を加速させるため、新たな買い手クラブ「TechGen」を2026年に立ち上げると発表した。創設メンバーとなる企業は、長期オフテイク契約を通じて多様なCDRプロジェクトへの早期参入を確保することができる。

TechGenは、グローバル企業が複数年契約でCDRポートフォリオに共同投資できる仕組みを提供する。参加企業は購入力をプールすることで取引コストを削減でき、また複数地域・複数技術への分散投資によりリスク低減も図られる。

サウスポールの最高経営責任者(CEO)、ダニエル・クリア氏は「遠くへ行くには一緒に行かなければならない。我々は気候リーダーを結集し、高い理念と明確な行動意識を共有する買い手クラブを立ち上げる。炭素除去は経済と社会の長期的安定に不可欠だ」と強調した。さらに「世界の主要金融機関の約半数が気候移行計画に除去を組み込む方針を示している。今求められるのは高い整合性を持つ市場構造だ」と述べた。

国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2050年頃までに年間70〜90億トンのCO2除去が必要と予測している。しかし現状の除去量は年間20億トンにとどまり、その大半は森林吸収など自然由来である。永続的な技術系除去はわずか130万トンに過ぎず、企業による迅速な市場形成が急務となっている。

サウスポールのグローバルCDRディレクター、マイケル・ウェーバー氏は「単独の企業が特定の技術に数百万ドル規模で長期投資するのは大きな負担だ。我々の買い手クラブは投資リスクを分散し、信頼できる高品質な除去を安定的に確保する仕組みを提供する」と説明した。

企業は今後、進化する規制や認証基準に適応しつつ、経営層に投資の合理性を説明する必要がある。SBTiも、企業のネットゼロ戦略にCDRを組み込む方針を提示しており、TechGen参加はその先行的対応とも位置付けられる。

サウスポールは既に2023年に共同事業体「NextGen」を設立し、欧米やアジアなどで20万トン超のCDR契約を発表している。TechGenはその経験を基盤とし、2026年の正式始動後は、参加企業が知見を共有しつつ市場の標準形成を担う「信頼できる共同体」を構築する見通しだ。

参考:https://www.southpole.com/news/techgen-aims-to-scale-removals-market-from-2026