韓国でCO2除去技術への補助金28億円規模が運用開始 炭素削減効率を競う制度を初導入

村山 大翔

村山 大翔

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韓国産業通商資源部(MOTIE)は1月21日、政府予算を効率的に活用して産業部門の温室効果ガス(GHG)を削減するため、総額250億ウォン(約28億円)規模のカーボンニュートラル設備投資プロジェクト競売事業」を開始した。

本事業は、企業が提示する二酸化炭素(CO2)1トンあたりの削減価格が低い順に落札される「競売(リバースオークション)方式」を採用しており、2月25日まで参加企業を募集する。

従来の定額・定率支援から競争原理を導入した制度へ転換することで、2035年までに2018年比53から61パーセント削減するという国家決定貢献(NDC)の達成を後押しする。

今回の競売事業は、排出権取引制度の割り当て対象企業であれば規模を問わず参加が可能であり、1企業あたり最大50億ウォン(約5億5,000万円)の補助金が交付される。参加企業は、プロジェクトによる年間予想削減量と、削減1トンあたりに希望する政府支援額(入札価格)を提出しなければならない。韓国政府は入札価格の低い順に予算の範囲内で落札者を決定し、同一予算で最大の削減効果を得る「費用対効果」の最大化を図る。

支援対象は「韓国型炭素中立100大核心技術」に指定された設備を含む、産業部門の脱炭素化に寄与する革新的な温室効果ガス削減設備全般に及ぶ。具体的には、鉄鋼分野の水素還元製鉄技術や、化学分野のバイオ原料転換、二酸化炭素回収・有効利用・貯留(CCUS)関連設備などが含まれる。中小・中堅企業の参加を促すため、全予算の30パーセントがこれらの企業に優先配分され、企業規模に応じて補助率も30パーセントから70パーセントの範囲で調整される。

また、本事業では「成果協約制度」が新たに導入された。

これは、企業が当初提出した予想削減量と実際の削減実績を比較し、目標を超過達成した企業には追加支援金や政府表彰などのインセンティブを付与する一方、実績が未達の場合には補助金の回収や将来の事業参加制限などのペナルティを課す仕組みである。これにより、単なる設備導入に留まらない実効性のある炭素削減を担保する。

韓国産業通商資源部のパク・ドンイル産業政策室長は「2035年までのNDC履行と産業のグリーン転換(GX)は、産業競争力強化の核心課題である」とした上で、「限られた政府予算を最大限効率的に活用し、民間の自発的な投資を引き出すために競売制度を導入した」と述べた。

今回の韓国の動向は、カーボンクレジット市場における「炭素の価値」を政府が直接的に価格競争へ委ねた点で非常に象徴的だ。

これまでの補助金バラマキ型から、1トンあたりの単価で序列を決めるリバースオークションへの移行は、より安価で大量の炭素除去(CDR)や削減を可能にする技術を持つ企業に有利に働く

日本企業にとっても、同様の効率重視の仕組みが今後導入される可能性は高く、単なる「環境対策」ではなく、いかに低コストで炭素を削るかという「コスト競争力としての脱炭素」が求められるフェーズに入ったと言えるだろう。

参考:韓国産業通商資源部(MOTIE)https://www.motie.go.kr/kor/article/ATCL000000000067667/view?m_id=ATCL000000000067667