カナダ・ケベック州のスタートアップ、Skyrenu Technologiesは、直接空気回収(DAC)技術を手がけるベンチャー企業として、政府系機関と民間投資家の支援を受けてプレシード資金調達を完了した。政府系機関インヴェスティスモン・ケベック(Investissement Québec)が主導し、「Impulsion PME(インパルションPME)」制度のもとで出資を実施。加えて、オランダのカーボンファンド「CarbonFix」など民間からの出資も確保した。
研究開発型企業に特化 政府主導の制度が後押し
今回の資金調達は、ケベック州政府のスタートアップ支援制度「Impulsion PME」の一環。技術起業の商業化初期に資金アクセスを与えることを目的としており、研究開発・素材分野の支援機関「PRIMA Québec」や、クリーンテック支援の「2 Degrés」による推薦を受けてSkyrenuが対象企業に選定された。
SkyrenuのDAC技術は、シェルブルック大学との共同開発により実現。技術成熟化の段階では、技術移転支援機関Axelysからの財務・戦略支援も受けている。
初の実用化ユニット納入 成長への弾み
Skyrenuは2025年2月、アルバータ州の「Deep Sky Alpha」施設において初の現地DAC装置(年50トンCO2回収)を納入・設置し、商用レベルでの運用を開始した。軽量製造とエネルギー効率に重点を置いたモジュール式設計を特徴とし、約15名の専任スタッフと共に、主にケベック州内の産業パートナーと連携しながら事業を展開している。
支援者の声 「研究から市場への橋渡しに」
インヴェスティスモン・ケベックのビチャ・ンゴ社長兼CEOは、「Skyrenuは、地域の知見を活用し、気候課題に対応する革新的な解決策を提示している」と評価。「学術界の技術を市場性ある形に変換できるケベック州の力を象徴する存在であり、今回の支援はイノベーションとエネルギー移行の好循環を後押しする」と述べた。
また、クリストファー・スキート経済担当大臣は、「商業化前の重要な時期にある有望なスタートアップが、成長の軌道に乗るための資金を得る手段が不可欠だ」と制度の意義を強調。「Skyrenuの未来に期待している」と語った。
SkyrenuのCEO、ガブリエル・ヴェジナ氏は「この支援は、当社の技術的革新性とチームの活力、成長可能性を裏付ける重要なマイルストーンである」と述べた。
Skyrenuは、今後さらなるスケールアップと複数拠点での商用展開を模索しており、2025年後半には追加の資金調達や新たな提携計画も視野に入れている。