蘭SkyNRGが世界初のSAF単独事業融資を調達 国内初プラント着工、2028年稼働へ

村山 大翔

村山 大翔

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オランダの持続可能な航空燃料(SAF)大手、スカイNRG(SkyNRG)は2026年2月12日、同国北部デルフゼイルの化学団地に建設するSAF製造プラント「DSL-01」の事業資金調達(フィナンシャル・クローズ)を完了したと発表した。

商業規模のSAF単独プラントとして「ノンリコース型プロジェクトファイナンス」による資金調達に成功したのは世界初の事例となる。建設工事は既に開始されており、2028年半ばの操業開始を目指す。

新設される「DSL-01」は、スカイNRGにとって初となる自社保有・運営の製造拠点だ。これまで同社は燃料の調達と流通を主眼としてきたが、今回の着工により大規模生産者への転換を図る。稼働後は年間10万トンのSAFに加え、バイオベースのプロパン、ブタン、ナフサなど約3万5,000トンの副産物を供給する計画である。

環境面では、従来のジェット燃料と比較してライフサイクル全体で約80%の温室効果ガス(GHG)排出削減を見込む。さらに、製造工程の電化推進や天然ガス使用量の削減により、将来的に削減率は90%以上に高まる見通しだ。

今回の資金調達は、SAF事業のバンカビリティを証明する画期的な一歩となった。特筆すべきは、日本のメガバンクであるmずほ銀行および三井住友銀行が、国際的な銀行コンソーシアムの一角として融資団に名を連ねている点だ。

このほか、オランダ最大の年金基金運用会社であるAPG(APG:運用資産額約5,900億ユーロ/約94.4兆円)や、豪金融大手のマッコーリー・グループ(Macquarie Group:運用資産額約4,060億ユーロ/約65兆円)などの機関投資家、さらに提携先のKLMオランダ航空(KLM Royal Dutch Airlines)が出資に加わっている。

今回のプロジェクトは、欧州で強化されるSAF混合義務化や、国際航空運送協会(IATA)が掲げる「2050年ネットゼロ」目標を背景としている。製造手法には、廃棄物由来の原料を加工するHEFA技術(水素化処理エステル・脂肪酸)を採用し、デンマークのトップソー(Topsoe)の技術を活用する。

スカイNRGは今後、北米での「プロジェクト・ウィジョン(Project Wigeon)」や、スウェーデンでの「プロジェクト・スカイクラフト(Project SkyKraft)」といった後続案件も進める計画だ。特にスウェーデンの案件では、再生可能電力と水素、そしてバイオジェニックCO2(生物由来の二酸化炭素)を用いた「e-SAF」の製造を予定しており、炭素除去(CDR)技術とSAF製造を組み合わせた次世代の脱炭素モデルとして注目されている。

本件は、SAF事業が「補助金頼みの実証」から「自立的な商業金融の対象」へ移行したことを示す象徴的なニュースである。日本のメガバンクが融資団に参画している事実は、国内金融機関のグリーンファイナンスにおける知見蓄積を裏付けている。日本企業にとっては、単なる燃料調達を超え、海外のSAF製造インフラへの投融資や、バイオジェニックCO2の供給を通じたCDR関連ビジネスへの参入機会を模索する絶好のタイミングと言えるだろう。

参考:https://skynrg.com/dsl-01-delfzijl-financial-close/