欧州エネルギー大手シュナイダーエレクトリック(Schneider Electric)は9月19日、スイスのクライムワークス(Climeworks)と大気中二酸化炭素除去(CDR)に関する長期オフテイク契約を締結したと発表した。
契約期間は2039年までで、累計3万1,000トンのCO2を削減・貯留する見通しだ。これはクライムワークスにとってポートフォリオ型CDRで過去最大規模の案件となる。
契約には、直接空気回収・貯留(DACCS)、バイオエネルギー炭素回収・貯留(BECCS)、岩石風化促進(ERW)の3種類の高耐久技術が含まれ、いずれも1,000年以上の炭素貯留を可能とする。クライムワークスとシュナイダーは併せて、直接空気回収(DAC)のコスト削減にも取り組むとしている。
シュナイダーの最高サステナビリティ責任者(CSO)であるエスター・フィニドリ氏は「耐久性の高い炭素除去への投資は、排出削減の加速や自然ベースの取り組みと補完し合う。クライムワークスは業界を牽引してきた信頼できるパートナーだ」と述べた。
クライムワークスの共同最高経営責任者(CEO)、クリストフ・ゲバルト氏は「今回の契約は当社にとって節目となる。シュナイダーのような大手が耐久型CDRを選択したことは、将来の需要拡大に向けた重要なシグナルだ」と語り、DACの低コスト化を加速する意義を強調した。
シュナイダーは2017年比で2030年までにスコープ1・2排出量を90%削減し、「ネットゼロ準備完了(net-zero ready)」の事業運営を目指す方針だ。さらに2050年までにバリューチェーン全体でネットゼロ達成を掲げており、今回の高耐久CDR購入はその「残余排出」の中和に活用される。
シュナイダーはすでに自然由来のカーボンクレジットを「リブリフッズ・カーボン・ファンド」や子会社エコアクト(EcoAct)を通じて活用しており、今後も自然由来と技術ベースの両面で除去策を拡充する構えだ。
CDR産業はインフラ整備に長期間を要するため、今回のような長期契約は投資家や開発事業者への需要の証明となる。クライムワークスは、サプライヤーとの提携を通じて高品質な除去ソリューションを選別し、量産とコスト低減を推進するとしている。
参考:https://climeworks.com/press-release/schneider-electric-and-climeworks-sign-31000-ton-cdr-agreement