三菱重工が出資 Sapphire、廃圧力発電技術で26億円の資金調達

村山 大翔

村山 大翔

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米カリフォルニア州のスタートアップ、サファイア・テクノロジーズ(Sapphire Technologies)は9月9日、シリーズC資金調達で1,800万ドル(約26億6,000万円)を確保したと発表した。リード投資家は三菱重工業で、既存投資家のエクイノール・ベンチャーズ(Equinor Ventures)、クーパー・アンド・カンパニー(Cooper and Company)、エナジー・キャピタル・ベンチャーズ(Energy Capital Ventures)も参加した。

調達資金は、カリフォルニア州サイプレスに新設した工場の生産能力拡大、日本市場を含む主要地域での導入加速、新たな産業分野への応用拡大に充てられる。同社の主力製品「FreeSpin® インライン・ターボエキスパンダー」は、天然ガスの輸送過程などで失われる圧力エネルギーを回収し、追加燃料を用いずに電力へ変換する仕組みだ。

サファイア社のフレディ・サーハン最高経営責任者(CEO)は「日本は最重要市場の一つであり、顧客との連携を一層深める。天然ガスインフラでの廃圧力発電設備の導入を加速し、世界的なエネルギー需要増に応えていく」と述べた。

三菱重工アメリカの酒井力・上級副社長は「FreeSpin®のような技術は、追加燃料や直接排出を伴わずに電力を生み出すことで、エネルギー転換に大きく寄与する可能性がある。我々の投資は、成長市場での実証展開を後押しし、需要増に応じた安定供給と炭素強度の低減を支援する」と強調した。

世界のエネルギー企業は、天然ガス需要の増加に対応しつつ脱炭素化を進める手段を模索している。サファイアのターボエキスパンダーは、大規模な設備改修を伴わずに、既存インフラから追加的なクリーン電源を得られる点で注目される。導入規模はキロワット級からメガワット級まで幅広く、運営コスト削減と排出削減の両立を可能にする。

同社は2021年に設立され、天然ガス井や高圧パイプラインでの適用実績を積み重ねている。今回の増産投資により、日本を含む国際市場での導入拡大が本格化する見通しだ。

参考:https://www.sapphiretechnologies.com/news/sapphire-technologies-secures-18-million-series-c-to-accelerate-growth-including-investment-from-mitsubishi-heavy-industries