香港拠点のデジタルカーボン市場ProMEXと、インドの検証機関Enviance Servicesは4月30日、戦略的提携を発表した。アジアの中小規模プロジェクト開発者が国際基準に則ったカーボンクレジットを効率よく認証・取引できるよう支援し、域内のボランタリーカーボン市場(VCM)の活性化を目指す。
本提携は、プロジェクト開発者が複雑なクレジット認証手続きをより簡便に進め、透明性の高い取引を行える体制を整備するものだ。ProMEXが提供する低コストで高流動性のデジタル取引基盤と、Envianceが担う検証・認証の専門性を融合することで、プロジェクト開始からクレジット発行・取引・リタイアメント(引退)までの一連のプロセスを一気通貫で支援する。
中でも、香港や東南アジア諸国に多く存在する中小規模のグリーンプロジェクトにとって、信頼性のある認証取得と迅速な収益化は課題となっていた。今回の提携により、これまでアクセスが難しかった国際市場への門戸が開かれ、民間資金の呼び込みやサステナビリティPRにも寄与すると見込まれる。
ProMEXのCEOマーク・ホー氏は「企業による脱炭素プロジェクトが増加する一方で、資金化に至るプロセスを熟知していない開発者が多い。今回の提携で、そのギャップを埋める」と述べ、持続可能な投資機会の創出に期待を示した。
Envianceのヴィプル・ジャイン執行役員も、「高品質なクレジットをより迅速に市場に届けることで、地域全体の気候行動のスケールアップに貢献したい」とコメントしている。
本提携は、アジアにおける信頼性の高いオフセットソリューションへの需要拡大を受けた動きであり、日本企業にとっても、アジア域内でのクレジット調達・投資先拡大に向けた新たな選択肢となり得る。