パプアニューギニア、カーボンクレジット・ロジェクトの新許可申請制度を正式運用開始

村山 大翔

村山 大翔

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FPIC義務化・パリ協定6条対応を柱に、環境十全性と先住民族の権利保護を強化

パプアニューギニア(PNG)政府は2026年3月、カーボンクレジット・プロジェクトに対する新たな法定許可制度「カーボン・パーミット・アプリケーション(CPA)」を正式に運用開始した。従来のプロジェクト・コンセプト・ノート(PCN)制度を全面的に置き換えるものであり、環境十全性の向上と土地所有者の同意手続きの法制化を主眼としている。

気候変動開発庁が管轄する5段階プロセス

新制度は気候変動開発庁(Climate Change and Development Authority: CCDA)が管轄し、以下の5段階で構成される。

  • 第1段階は関心表明(EOI)であり、プロジェクト開発者が参入意思を表明する初期手続きである。
  • 第2段階のCPA提出では、16項目の必須チェックリストを伴う詳細な申請書類の提出が求められる。
  • 第3段階は政府審査であり、気候変動(管理)法(Climate Change (Management) Act)への準拠を政府パネルが評価する。
  • 第4段階では承認書(LoA)が正式に発行される。
  • そして第5段階の発行・調整では、第三者検証を経た排出削減量に対し、プロジェクト開発者がパリ協定6条に基づく対応調整のための発行証明を提出しなければならない。

厳格化された必須要件

新制度では、以下の書類・手続きが義務化された。

まず、自由意思に基づく事前の十分な情報に基づく同意(FPIC)として、土地所有者の同意を証明する「同意証明書」の提出が必要である。次に、関連する州行政評議会からの書面承認が求められる。さらに、一次受益者・二次受益者を特定した利益配分計画および協定書の策定、そしてプロジェクト設計書(PDD)・適用方法論の説明・苦情処理メカニズムを含む運営関連書類の整備が不可欠である。

既存プロジェクトへの経過措置

新規制の施行以前からすでに活動中のプロジェクトについては、CCDAに対してFPIC実施プロセスの承認申請を行うための猶予期間が6カ月間設けられている。

NDC 3.0に向けたAFOLUセクター目標の精緻化も進行

同時期にポートモレスビーのラマナ・ホテルでは、PNGのNDC 3.0に関するAFOLU(農業・林業・その他土地利用)技術委員会会合がCCDAと国連食糧農業機関(FAO)の共催で開催された。政府機関、技術専門家、開発パートナーが一堂に会し、AFOLUセクターの目標強化、国家政策との整合性確保、実施に向けた具体的な道筋が議論された。

PNGの気候変動コミットメントにおいて、持続可能な土地管理、森林保全、農業慣行の改善を通じた排出削減と炭素隔離の両面でAFOLUセクターは中核的な役割を担っている。会合の成果は、NDC 3.0最終化に向けたAFOLU目標の精緻化に活用される。

PNGの新CPA制度は、パリ協定6条に基づく対応調整とFPICの法的義務化を一体で制度設計した点で、ボランタリーカーボンクレジット市場における環境十全性・社会的セーフガードの新基準となり得る。

日本企業にとっては、二国間クレジット制度(JCM)を通じたPNG案件の組成やREDD+投資を検討する際、この新制度への準拠が不可避となるため、早期の制度理解とデューデリジェンス体制の構築が求められる。

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