英国を拠点とするカーボンクレジット標準のプラネット・ファースト・レジストリ(Planet First Registry:PFR)は1月28日、市場の信頼性を評価する主要な国際機関であるICROAから、条件付きのプログラム認定を受けた。
今回の認定により、同標準が提唱する枠組みがICROAの定める「最良執行規範(Code of Best Practice)」に準拠していることが証明され、ボランタリーカーボンクレジット市場(VCM)における機関投資家や購入者への信頼性が高まることとなる。
PFRは2024年に設立されたブロックチェーン基盤の炭素登録簿(レジストリ)であり、現在は独自に開発した9つの手法に基づき、英国国内を中心とした11件の活動プロジェクトを管理している。同プログラムの特徴は、分散型台帳技術(DLT)を用いることでクレジットの発行から無効化までの全工程を追跡可能にし、二重計上のリスクを技術的に排除している点にある。
今回の認定が「条件的」となった背景には、完全認定に移行するための運用規模に関する要件がある。
ICROAの基準では、完全な認定を受けるためには少なくとも10件以上の登録プロジェクトと、10万トン以上のクレジット発行実績が必要とされる。PFRは現時点で188万6,927トンのクレジットを発行済みだが、その実績が2つのプロジェクトに集中しているため、今後のプロジェクト数の拡大が完全認定への条件となっている。
PFRの運営体制については、科学者を中心とした専門チームが独立性を維持しており、プロジェクト開発やクレジットの直接販売には関与しない方針を徹底している。収益構造は手数料ベースとなっており、例えば設計妥当性確認の審査には1,800ポンド(約34万4,000円)の固定費用が発生し、クレジットの無効化(リタイアメント)時には1クレジットあたり0.01ポンド(約1.9円)の手数料が課される。
PFRは今後、海洋炭素除去(mCDR)やバイオ由来の建設資材を用いた炭素貯蔵など、高耐久な炭素除去(CDR)手法の拡充を進め、2026年内の完全認定取得を目指す方針だ。
今回のPFRによるICROA認定取得は、技術(ブロックチェーン)と科学的厳密性の融合が国際市場で評価され始めた象徴的なニュースだ。
特に注目すべきは、彼らが「条件的認定」に留まっている理由が、クレジットの「質」ではなく「実績数」という定量的ハードルにある点。これは、新興のCDR特化型基準が、既存の巨大基準(Verra等)と肩を並べるための「産みの苦しみ」の段階にいることを示唆してる。
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