ブラジル北東部のピアウイ州は7月8日、世界的な自然資本投資会社シルバニア(Silvania)と提携し、州全域でのREDD+(森林減少・劣化削減)プログラムを始めた。森林保全で得られるカーボンクレジットを国際市場で販売し、気候変動対策と地域経済の発展を同時に進める狙いだ。
州の投資促進機関インヴェステ・ピアウイとシルバニアの契約には、総額5億ドルの投資が含まれる。シルバニアは前払いで資金を提供し、州が国際認証「ART TREES」を取得できるよう支援。その見返りとして、高品質な炭素クレジットの独占購入権を持つ。
事業の実施は、生態系修復の経験が15年以上あるゲオノマ(Geonoma)が担当し、ブラジルの環境企業システミカ(Systemica)が技術支援を行う。トカンティンス州の成功事例を参考に、公募で2社が選ばれた。州の試算では、森林破壊を年間10%減らせば、2030年までに累計2,000万トンを超えるカーボンクレジットを発行できる可能性がある。
フォンテレス州知事は「森林破壊と気候変動の両方に立ち向かう画期的な一歩だ」と述べた。今回のプログラムは、地域住民の生活向上や持続可能な農業の拡大にもつながる見込みで、COP30前の投資呼び込みを狙うシルバニアの「Race to Belém」キャンペーンとも連携する。
シルバニアは国内の他州でも森林保護事業を広げており、最近は南米ガイアナとも生物多様性の価値評価と資金調達モデルの開発で協力を始めた。今回の取り組みは、ブラジルが国際的な自然資本市場で存在感を強める動きの一つだ。
参考:https://silvania.earth/silvania-and-guyana-announce-new-partnership-to-unlock-biodiversity-finance/