カーボンクレジット保険のOkaとBACXが提携 世界初の「保険付き上場型カーボンクレジット」創設へ

村山 大翔

村山 大翔

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アルゼンチン・ブエノスアイレスで10月1日、カーボン保険を専門とするオカ(Oka)は、アルゼンチン炭素取引所(BACX, Bolsa Argentina de Carbono)と提携し、植林・再植林由来のカーボンクレジットを対象に「保険付き上場型クレジット」を導入すると発表した。世界で初めて、失効リスク(インバリデーション)を補償する保険を組み込んだ形で取引所に上場されるカーボンクレジットが誕生する。仲介は保険ブローカー大手のロックトン(Lockton)が務めた。

オカの創業者兼最高経営責任者(CEO)クリス・スレーター氏は「BACXとの協働により、カーボンクレジット市場に新たな業界基準を打ち立てる。この取り組みは、すべてのカーボンクレジットに保険を付帯させるべきというオカの基本理念を実証する重要な一歩だ」と述べた。

ロックトン・ロンドンのデジタル統合・特別プロジェクト部門責任者デービッド・ブリスコー氏は「企業資本とカーボンクレジット市場を効率的に結びつける重要な転換点となる。保険付きクレジットにより、企業は自信を持って持続可能性投資を進められる」と指摘した。

さらに、BACXの会長アレハンドロ・ゲレーロ氏は「オカとの提携は、高信頼性カーボンクレジット取引の新たな里程標となる。保険を直接クレジットに組み込むことで、買い手の信頼性と市場の透明性を大幅に高める」と強調した。

今回の枠組みは、カーボンクレジットの信頼性確保における新たなモデルとして注目される。これまで市場では、森林火災や測定誤差などによるカーボンクレジットの無効化リスクが課題とされてきたが、保険を組み込むことで投資家・企業双方のリスクを軽減できる。今後は他地域の取引所やプロジェクトにも同様の仕組みが波及する可能性がある。

参考:https://carboninsurance.co/oka-partners-with-bacx-to-launch-worlds-first-pre-insured-exchange-traded-carbon-credits/