イギリスの再エネ投資大手オクトパス・エナジー(Octopus Energy)は17日、米国カリフォルニア州の炭素除去(CDR)およびクリーンテクノロジー分野へ約10億ドル(約1,500億円)を投じると発表した。本投資は2030年までに同国で計画する総額20億ドル(約3,000億円)規模の投資戦略の一環であり、劣化した土地の再生を通じた高品質なカーボンクレジットの創出を加速させる狙いだ。
今回の投資の目玉は、大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収・固定する「草地再生」や「再植林」を手掛けるカリフォルニア拠点のCDR企業2社への資金援助である。これらのプロジェクトは、劣化した土地を強力なCO2吸収源へと変貌させるもので、すでに複数のビッグテック(大手IT企業)との間で、将来生成されるカーボンクレジットのオフテイク(先買い)契約を締結している。
また、オクトパスはCDR以外にも、脱炭素化が困難とされる「ハード・トゥ・アベート」産業向けの技術支援を強化する。具体的には、サンフランシスコ・ベイエリアで開発された「熱電池」技術へ投資し、化石燃料を使用する従来のボイラーから再エネ駆動のシステムへの転換を促進する。さらに、2026年7月の稼働を目指す大規模な太陽光発電・蓄電池併設プロジェクトの買収も進める計画だ。
今回の発表は、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事がロンドンのオクトパス本社を訪問した際に行われた。オクトパス・エナジー・ジェネレーションのゾイサ・ノースボンドCEOは、「シリコンバレー周辺の革新的な起業家精神と政策支援は、長期的な投資パートナーシップを築く上で理想的な環境だ」と述べ、米国での成功を英国経済へ還元する姿勢を強調した。
カリフォルニア州は2045年までのネットゼロ達成を法制化しており、世界最大級の経済規模を背景に、クリーンエネルギー分野で全米平均の4倍の雇用創出を実現している。オクトパスはこれまでもオハイオ州やペンシルベニア州での太陽光発電事業や、浮体式洋上風力発電のオサジー(Ocergy)への出資など、北米市場でのプレゼンスを急速に拡大させている。
今回の投資は、単なる再エネ普及に留まらず、ビッグテックが血眼で探している「信頼性の高いCDRクレジット」のサプライチェーンを欧州資本が先んじて押さえにかかった格好だ。
日本企業、特に海外でのカーボンオフセットを検討中の中堅・大手企業にとっては、こうした自然由来の高品質プロジェクトが早期に買い占められるリスクを認識すべきだろう。
今後は「発電」と「炭素除去」をセットにした投資モデルが、国際的な脱炭素投資のスタンダードになると予測される。
