世界初「OAEクレジット」625トン発行 IsometricがPlanetary事業を認証

村山 大翔

村山 大翔

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カナダの海洋CDR企業Planetary Technologiesは16日、英国のカーボンクレジット登録機関Isometricの海洋アルカリ化強化(OAE)プロトコルに基づき、625トンのCDRクレジットを世界で初めて独立検証付きで発行した。クレジットはストライプ、ショッピファイ、ブリティッシュ・エアウェイズの3社が購入し、ノバスコシア州ハリファクスの沿岸実証サイトで創出された。

Planetaryは既存火力発電所の放流水を利用し、1,103.2トンのアルカリ性副産物を投与。Isometricおよび第三者検証機関350Solutionsが高分解能モデルと現場データを突き合わせ、純除去量を算定した。プロトコルは科学的妥当性を重視し、遠隔地への炭素拡散まで含むMRV(計測・報告・検証)手法を規定する。

Stripeなど早期購入企業は「高耐久かつ透明性の高い除去クレジットの供給源が拡大する転換点だ」と歓迎した。沿岸コミュニティと規制当局は重金属残渣やpH変動を定期監視しており、「環境負荷は許容範囲内」とする初期結果を公表している。

項目数値備考
投与アルカリ量1,103.2トン産業副産物を再利用
創出クレジット625.6トンCO2
主な購入者Stripe、Shopify、British Airways価格は非公表

従来の海洋CDRは計測不確実性と生態系リスクが課題だった。Isometric方式は数値モデル+現場測定の二段階検証を要求し、除去量50%相当をバッファプールとして差し引く保守的設計が特徴だ。森林・DACなど他手法と比べ、数万年規模の貯留耐久性用地不要の利点がある一方、国際法整備や地域合意形成が不可欠と指摘される。

Planetaryは2026年までに年間2万トン規模への拡張を計画し、年内に追加2サイトの許認可取得を目指す。国際海事機関(IMO)が検討中の海洋CDRガイドライン最終案(2025年12月公表予定)も、事業拡大の可否を左右する注目材料となる。

参考:https://www.planetarytech.com/the-worlds-first-verified-oae-credits/