米金融大手ノーザン・トラスト(Northern Trust)は4月29日、英エコシステム認証機構(Ecosystem Certification Organisation、ECO)と提携し、森林保全プロジェクトから生まれるカーボンクレジットの記録・決済を担うと発表した。対象となるのは、NFS(ナチュラル・フォレスト・スタンダード)認証に基づく「自然資本クレジット」で、CO2削減に加え、生物多様性や地域社会への効果も評価する点が特徴だ。
この仕組みでは、ECOが認証と基準の運営を行い、ノーザン・トラストがカーボンクレジットの発行から取引、保管までの管理を担当する。ECOは役割を分けることで透明性を高め、信頼できるカーボンクレジット市場を目指している。
ECOのビクトリア・ケリー取締役は「ノーザン・トラストの仕組みにより、クレジットの透明性と追跡性が保証される」と語った。ジョナサン・ボウイ取締役も「これで我々は基準の運営に集中できる」と述べている。
ノーザン・トラストのジャスティン・チャップマン氏は「役割分担がボランタリーカーボンクレジット市場の成熟につながる」と強調した。同社はすでに2024年に「ノーザン・トラスト・カーボン・エコシステム」を立ち上げており、自社のデジタル資産基盤を使って、クレジットの発行や決済、保管、報告まで一括でサポートしている。
ノーザン・トラストは3月末時点で約1兆6,900億ドル(約259兆円)の資産を管理している。大手金融機関が森林由来のカーボンクレジットに関与することで、この分野の信頼性と流通拡大に拍車がかかるとみられる。