ノルウェーの炭素回収・貯留(CCS)プロジェクト「ノーザンライツ(Northern Lights)」は、第2フェーズ向けに、仏テクニップ・エナジーズ(Technip Energies)製となる完全電動式の液化CO2(LCO2)船舶積載用ローディングアーム3基を導入する契約を締結した。これは、新興の炭素輸送セクターにおける新たな技術的マイルストーンとなる。2028年までに同プロジェクトのCO2貯留能力を年間500万トン超に拡大するにあたり、炭素輸送インフラの安全性と効率性を高める新たな基準が確立される見込みだ。
テクニップ・エナジーズが供給するこの新しいローディングアームは、油圧機構を一切使用しない業界初の完全電動構成となり、液化CO2の安全かつ効率的な移送のために特別に設計されている。同社は、すでに2025年夏に稼働開始したノーザンライツの第1フェーズ向けにも、世界初の液化CO2向け船舶積載用ローディングアームを納入しており、今回の第2フェーズへの採用は、その実績に基づくものだ。
第2フェーズは、ノーザンライツのCO2ターミナルの処理能力を2028年までに年間500万トン超へと大幅に引き上げ、欧州の急速に拡大するCCSバリューチェーンを支える。同社によると、この完全電動システムは技術的な適格性評価を完了しており、商業的なCCSプロジェクトに実用可能な次世代ソリューションを提供するテクニップ・エナジーズの能力を裏付けている。
テクニップ・エナジーズのT.EN X – コンサルティング&システム担当シニア・バイスプレジデントであるチャールズ・セソット(Charles Cessot)氏は、「完全電動式船舶積載用ローディングアームの採用は、当社のイノベーションへのコミットメント、そして欧州が必要とする炭素管理インフラを実現させる能力を示すものだ」と述べた。また、「この新たな受注は、当社をこの先駆的なCCSプロジェクトにおける信頼できるパートナーとしての地位に置き、CCS市場における当社のリーダーシップをさらに強化する」と指摘した。
ノーザンライツは、エクイノール(Equinor)、シェル(Shell)、トタルエナジーズ(TotalEnergies)の合弁事業であり、世界初のオープンアクセス型、かつ国境を越えたCO2輸送・貯留インフラである。この施設は、欧州の産業排出源から船で運ばれてきた液化CO2を受け入れ、一時貯蔵した後、北海海底の恒久的な地質貯留層へと輸送・貯留する仕組みとなっている。
第2フェーズの円滑な進展は、欧州における大規模な炭素除去(CDR)と排出削減の目標達成を可能にする重要な要素であり、カーボンクレジット市場の信頼性向上にも直結する。
