オランダ政府のオランダ企業庁(RVO:Rijksdienst voor Ondernemend Nederland)は1月19日、炭素除去(CDR)技術の普及を加速させるための新たな補助金制度を開始した。
総額1,000万ユーロ(約16億1,000万円)を投じ、大気中の二酸化炭素(CO2)を回収・貯留する革新的なプロジェクトを支援する。本制度は産学官の連携を条件とし、2050年の気候中立達成に向けたネガティブエミッション技術の確立を狙う。
制度の名称は「MOOI:炭素除去(MOOI: Koolstofverwijdering)」である。
1プロジェクトあたり最大400万ユーロ(約6億4,400万円)の助成金が交付される。申請には少なくとも3つの異なる組織による共同事業体(コンソーシアム)の形成が必要となる。採択プロジェクトは、開始から10年以内に実用化が可能な実証モデルを提示しなければならない。事前申請の受付は2026年3月17日から4月16日まで実施される。
支援対象となる技術は多岐にわたる。
直接空気回収(DAC)やバイオエネルギー炭素捕獲・貯留(BECCS)のほか、CO2を鉱物化して永続的に固定する手法も含まれる。また、耐久消費財に炭素を埋め込む技術も対象だ。オランダ政府は、これらの中長期的な炭素除去技術を、既存の「ポルトス(Porthos)」や「アラミス(Aramis)」といった大規模な炭素回収・貯留(CCS)プロジェクトを補完する柱と位置付けている。
オランダ国内では既に、炭素鉱物化を手がけるぺブル(Paebbl)が欧州連合(EU)から400万ユーロ(約6億4,400万円)の支援を獲得した。
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また、DACスタートアップのカービヨン(Carbyon)も国内補助金を得て装置のスケールアップを進めている。政府は今回の追加支援を通じて、国内のイノベーションエコシステムをさらに強固にする考えだ。
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今回の補助金制度は、削減が困難な部門の排出を相殺するための高品質なカーボンクレジット創生にも寄与する。政府は2030年までに温室効果ガスを55%削減する方針を堅持している。
今後、2026年3月の事前登録開始に向けて、事業者のパートナーシップ構築が加速することが予想される。
オランダの今回の動きは、既存のCCS(インフラ型)から、より多様なCDR(技術型)へと政策の重心が広がっていることを示している。特に「3組織以上の共同」を条件とする点は、スタートアップの技術と大企業の資金・設備を融合させ、10年以内という短期間での商用化を狙う極めて戦略的な設計だ。
これは日本のグリーンイノベーション基金にも通ずる動きだが、オランダは欧州全域のCDR市場のハブを狙っており、創出されるクレジットの質や価格競争力において、日本企業にとっても強力なライバル、あるいは連携相手となるだろう。
参考:https://www.rvo.nl/subsidies-financiering/mooi/koolstofverwijdering


