マイクロソフトがカーボンクレジット200万トンを調達 ウガンダの森林再生クレジットを確保

村山 大翔

村山 大翔

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米マイクロソフト(Microsoft)は2026年1月14日、カーボンクレジットの投資・管理を手掛けるルビコン・カーボン(Rubicon Carbon)と共同で、ウガンダの森林再生プロジェクトから200万トンのCDRクレジットを調達する契約を締結した。

今回の合意は、植林・再造林・植生回復(ARR)を通じた高品質なカーボンクレジットを2035年までに提供するものであり、ウガンダ北部の小規模農家支援と生態系復元を同時に目指す。

この取引は、2025年5月に両社が発表した最大1,800万トンのCDRクレジット購入に向けた枠組み契約における、最初の具体的な案件となる。同枠組みは、資金調達が困難なCDRプロジェクトに対して長期的な購入を確約することで、プロジェクト開発に必要な資本へのアクセスを改善し、契約プロセスを効率化することを目的としている。

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カーボンクレジットの供給源となるのは、ウガンダの社会企業であるキジャニ・フォレストリー(Kijani Forestry)が運営する「小規模農家森林プロジェクト」である。このプロジェクトは、ウガンダ政府の水資源・環境省(Ministry of Water and Environment)が策定した気候変動メカニズム規則の下で、国内初の承認を受けた取り組みの一つだ。

キジャニ・フォレストリーは、現在5万人以上の小規模農家と連携し、劣化が進んだ土地での木材林再生を支援している。これまでに3,000万本以上の植樹を実現しており、農家1エーカーあたりの世帯収入は、将来的に600パーセント以上増加すると予測されている。

農家は植樹から1年以内にカーボンクレジット収益を得られるほか、樹木の成熟後は持続可能な木材や木炭の販売による新たな収入源も期待できる。

ルビコン・カーボンのトム・モンタグ最高経営責任者(CEO)は「このプロジェクトは、構造化された金融が自然由来の炭素除去をいかに拡大できるかを示している。キジャニのプロジェクトに長期資金を提供することで、気候変動への対策と、生態系を支える地域社会への経済的機会の提供を同時に実現する」と述べた。

また、マイクロソフトのCDR担当ディレクターであるフィリップ・グッドマン氏は「ウガンダ北部での生態系復元と農家の生活向上を両立させるキジャニの活動を支援できることを嬉しく思う。ルビコン・カーボンとの提携により、プロジェクトの質を担保しながら、自然由来の炭素除去に対する資金供給を加速させることが可能になった」と指摘した。

マイクロソフトは、2030年までにカーボンネガティブを実現し、2050年までに創業以来の全排出量を回収する目標を掲げている。キジャニ・フォレストリーはウガンダ北部で600人以上の正社員を雇用する最大級の雇用主となっており、今回の契約により、さらなる森林再生の加速と地域経済の活性化が図られる見通しだ。

本件は、単なる「企業のクレジット購入」を超え、自然由来のCDRが抱える「信頼性と資金調達」という二つの課題を解決するモデルケースといえる。

マイクロソフトのような巨大需要家がルビコン・カーボンという専門家を介して長期オフテイク(先行購入契約)を結ぶことで、ウガンダの小規模農家は「植樹から1年以内」という極めて早い段階で現金収入を得られる。

これは、農家が目先の生活のために木を伐採することを防ぐ強力なインセンティブになる。

日本の企業にとっても、生物多様性と地域開発をセットにした高品質なCDR確保は、今後ますます重要になるだろう。

参考:https://www.businesswire.com/news/home/20260114090608/en/Rubicon-Carbon-to-Supply-Microsoft-with-Two-Million-Tonnes-of-Carbon-Removal-Credits-from-Kijani-Forestry-Project