米マイクロソフト(Microsoft)は7月18日、廃棄物を使った炭素除去(CDR)を行う「ヴォールテッド・ディープ(Vaulted Deep)」と、12年間の長期契約を結んだ。期間中に最大490万トンの二酸化炭素を大気から取り除く計画で、これは世界で2番目に大きいCDR契約となる。
ヴォールテッド・ディープの仕組みはシンプルだ。再利用やリサイクルができない「汚泥」「家畜のふん」「製紙工場のスラッジ」「食品や農業の廃棄物」などを、地中深くに埋めてしまう。このとき、地下の岩盤でしっかり密閉されるため、二酸化炭素やメタンガスが外に漏れない。さらに、近年問題視されている有害物質「PFAS(永遠の化学物質)」も同時に封じ込められる。
この方法で作られた炭素除去(CDR)由来のカーボンクレジットは、第三者機関Isometriが認証している。耐久性は1,000年以上とされ、長期的に炭素を固定できるのが特徴だ。
ヴォールテッドはすでに69,000トンの廃棄物を処理し、18,000トン分の炭素を除去している。今回の契約で事業を全米に広げ、廃棄物問題と気候変動の両方に対応するモデルを目指す。
カンザス州にある同社の「グレートプレーンズ施設」は、2025年7月の設備拡張で処理能力を3倍に増強。地域には約1億6,000万円以上の経済効果が生まれ、18人が正社員として雇用されている。
今後は自治体や農業・工場関係者と連携し、廃棄物の受け入れをさらに拡大する予定だ。
今回の動きは、カーボンクレジット市場で注目が高まる「廃棄物由来CDR」の有効性と可能性を示す事例となる。