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LSBインダストリーズ、エルドラドCCSプロジェクトの完全買収へ マイルストーン連動型で約95百万ドルを段階投入

2026.05.28 読了 約4分
LSBインダストリーズ、エルドラドCCSプロジェクトの完全買収へ マイルストーン連動型で約95百万ドルを段階投入
出典:<a href="https://www.lapiscarbonsolutions.com/project-blue/" target="_blank">Lapis Carbon Solutions</a>

オクラホマシティを本拠とするLSBインダストリーズ(LSB Industries)は、ラピス・カーボン・ソリューションズ(Lapis Carbon Solutions)との間で、アーカンソー州エルドラドのアンモニア製造拠点で進行中のCCSプロジェクト「プロジェクト・ブルー(Project Blue)」を完全買収するための合意に達したと発表した。

合意の核心は、買収対価の構造にある。クロージング時点でのアップフロント現金支払いはゼロとし、開発、許認可、建設、試運転、商業運転開始といった主要マイルストーンの達成に連動して段階的に投資を実行する。全マイルストーン達成を前提とした総対価および残工事資金は、現時点で約95百万ドル(約143億円)と見込まれている。

LSBのマーク・ベアマン会長兼最高経営責任者(Mark Behrman)は、完全所有化により事業運営の統制、商業面の柔軟性、エルドラド拠点における将来の拡張機会の評価といった戦略的選択肢が広がるとコメントした。

年間40-50万トンのCO2貯留と低炭素アンモニア事業

プロジェクト・ブルーは2022年4月に当初発表された案件であり、年間40-50万トンのCO2を恒久的に回収・貯留する設計となっている。建設は2026年末から2027年初頭の完工に向け予定通り進捗している。

貯留されるCO2は米内国歳入法45Q条に基づき、恒久貯留分について1トン当たり85ドルの連邦税額控除の対象となる。さらに本プロジェクトの稼働により、LSBは年間30.5-38万トンの低炭素アンモニア生産が可能となり、製品プレミアムやCO2貯留に伴う環境価値の販売を通じた追加収益機会が見込まれる。LSBは本案件がフル稼働時に年間2,500-3,000万ドル(約38-45億円)の利益およびキャッシュフローを生み出すと試算している。

ラピスはEPAとのClass VI圧入井許認可対応および規制当局との折衝を引き続き担当する。EPAは現在、圧入井許可申請を審査中で、年内の承認が見込まれている。承認後は2025年6月に掘削を完了した層序試掘井をCO2圧入に使用する計画である。

米国湾岸地域における産業CCS集積の一断面

エルドラドの案件は、米国湾岸地域で進行する産業CCS開発の拡大局面を象徴する事例の一つである。化学、肥料、水素、アンモニアといった排出原単位の高いプロセス産業が、低炭素製品としての差別化と45Qによる経済性確保を組み合わせる戦略を加速させている。

もっとも、本案件の経済性は45Qによる1トン当たり85ドルの税額控除を前提として成立している側面が大きく、米国における連邦税制の持続性は長期的な論点として残る。45Qは2022年のインフレ削減法(IRA)により大幅に拡充されたが、政権交代局面では税額控除の縮小、運用厳格化の可能性が繰り返し議論されてきた経緯がある。

編集部の視点

本件で注目すべきは、所有権集約というアウトカム以上に、その実現手段として採用されたマイルストーン連動型かつアップフロント支払いゼロのファイナンス構造である。

プロジェクト開発リスクが顕在化しやすいCCS領域において、買い手側の資本コミットメントを建設、許認可、運転開始の各段階に分散させる枠組みは、相対的に資本制約のある事業会社がCCS案件を内製化する際の現実的な選択肢を示している。日系の素材、化学、肥料セクターにおいても、海外開発パートナーと組成中のCCS案件の出口戦略を検討する上で、本件の対価構造は参照価値が高い。

ただし、本件の経済性は45Qへの依存度が高く、米国CCS投資全般に共通する税制リスクから自由ではない。事業会社による完全所有化は税額控除を含む経済価値の取り込みを最大化する判断として合理的だが、同時に政策変動リスクの集中も意味する。45Qの持続性、低炭素アンモニアの製品プレミアム形成、環境価値市場の成熟という3要素のうち、どれか一つでも想定を下回れば投資回収シナリオが大きく揺らぐ構造であり、本案件の進捗は米国産業CCSの収益性検証としても注視に値する。

参考:https://www.businesswire.com/news/home/20260519473501/en/LSB-Industries-Reaches-Agreement-Establishing-a-Pathway-to-100-Ownership-of-El-Dorado-CCS-Project

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カーボンクレジット.jp 編集部
カーボンクレジット.jp編集部|2023年末に当時日本初かつ唯一のカーボンクレジット専門情報メディアを立ち上げ。高度な専門性とわかりやすさを追求した翻訳力。