仏・リベリア、高品質REDD+構築へ14億円規模の投資 「Wonegizi-Wologizi」で森林保全と炭素金融を統合

村山 大翔

村山 大翔

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リベリア政府とフランス開発庁(AFD)は12月12日、同国ロファ郡に残る原生林の保全と国際炭素市場への本格参入を目指す新プロジェクト「WISE(Wonegizi-Wologizi Initiative for Sustainable Ecosystems)」を始動させた。総額900万ユーロ(約14億1,000万円)を投じ、高信頼性のカーボンクレジット(REDD+)創出基盤を今後5年間で整備することで、長期的な森林保全資金の確保を狙う。

「高潔性」を備えた炭素市場アクセスの確立

本イニシアティブの核心は、単なる環境援助への依存から脱却し、自律的な資金循環を生み出すことにある。プロジェクトは4つの主要コンポーネントで構成されており、その中でも気候ファイナンスが戦略的な柱となっている。

具体的には、リベリア初となる「高信頼性(High-Integrity)を備えたコミュニティ主導型カーボンクレジット制度(REDD+)」の設計と実装を行う。世界的な炭素市場では現在、カーボンクレジットの質に対する監視が厳格化している。本プロジェクトは、国際基準に適合したMRV(測定・報告・検証)体制を構築し、将来的に信頼性の高い炭素クレジットを発行・販売することで、地域開発と保全活動の資金を永続的に生み出すエコシステムの確立を目指す。

欧州の関与と環境外交の転換点

今回のプロジェクトは、リベリアのボアカイ政権が進める「環境外交戦略」の試金石とも位置付けられている。資金拠出を行うフランス開発庁(AFD)のクレメンティーヌ・ダルディ(Clémentine Dardy)国別ディレクターは、本件がリベリア主導であることを強調しつつ、「(今回の支援は)リベリアが確固たるカーボンクレジット制度を開発する助けとなる」と述べた。

また、フランスのイザベル・ル・ゲレック(Jrabelle Le Guellec)駐リベリア大使は、「リベリアの原生林保護は選択肢ではなく、世界にとっての緊急の責務だ」と指摘した。リベリアはアッパー・ギニア森林(Upper Guinean Forest)の残存面積の43%を保有しており、生物多様性枠組「30×30」や世界的な気候目標の達成において、同国の森林資源が地政学的にも重要な意味を持つことを示唆している。

過去の教訓とガバナンスへの挑戦

リベリアにとって、炭素市場へのアプローチは今回が初めてではない。過去の政権下でも炭素取引の枠組みが模索されたが、結果は一貫性を欠き、混合的な成果に留まっていた経緯がある。

ボアカイ政権は、過去の失敗要因であったガバナンスの脆弱性を克服する必要に迫られている。プロジェクト文書によると、対象地域では移動耕作、小規模採掘、違法伐採などの圧力が強まっている。バイヤーの信頼に足る「質の高いカーボンクレジット」を創出するためには、森林公社(FDA)の執行能力強化と、透明性の高い資金管理体制の構築が不可欠となる。

コミュニティの権利とプロジェクトの展望

実務は国際環境NGOのファウナ・フローラ・インターナショナル(FFI)およびGRETが担当する。対象となるWonegizi-Wologizi地域は、絶滅危惧種が生息する重要生態系でありながら、約3万4,000人の住民が生活している。

FFIのマリー・モロク=オドジ(Mary Molokwu-Odozi)カントリーディレクターは、「コミュニティが繁栄しなければ、森林も存続できない」と述べ、生計向上と保全のバランスを強調した。プロジェクトは約1,500世帯の農家に対する支援や土地権利の文書化を進める計画だ。地域住民の権利保護なしには、森林減少を食い止めることはできず、結果としてREDD+プロジェクトとして成立しないためである。

リベリアは2030年までに森林減少を50%削減する目標を掲げている。本プロジェクトが「高品質なカーボンクレジット」のモデルケースとして機能し、国際的な気候資金を呼び込めるか、今後5年間の進捗が注視される。

参考:https://allafrica.com/stories/202512120369.html