Amazon.comは4月2日、企業が高品質なカーボンクレジットにアクセスできる新サービスを開始した。自社の脱炭素化を進めるだけでなく、外部の気候関連プロジェクトへの投資を通じて、企業全体のネット・ゼロ実現を支援するのが狙い。新サービスは同社のサステナビリティ・プラットフォーム「Sustainability Exchange」上で提供される。
このサービスでは、森林保全や炭素除去技術など、科学的根拠に基づいたカーボンクレジットを対象とし、対象企業が持続可能な取り組みを拡大できる仕組みを整える。提供対象は、Scope1、Scope2、Scope3すべてに対してネット・ゼロ目標を設定し、定期的に温室効果ガスの排出量を測定・公表している企業に限定される。
Amazon.comのチーフ・サステナビリティ・オフィサー、カラ・ハースト氏は「カーボンクレジット市場は信頼性や透明性をめぐる課題を抱えてきたが、森林減少の抑制と回復なしに気候変動への対応は進まない」とコメント。大規模企業としての審査力を活かし、信頼できるプロジェクトへの投資を後押しするとしている。
この取り組みは、気候科学が求める「年間数十億トン規模のCO2除去」の達成に向けた一手でもある。IPCCによれば、2100年までに最大1兆トンの排出削減が求められており、高品質なクレジットはその手段として重要視されている。
すでに複数の企業が参加しており、気候対策への意思を共有する企業同士の連携も進む。写真共有サービスFlickr、不動産開発のSeneca Group、家具メーカーのSteelcase、ITコンサルのSlalomなどが名を連ねる。
環境保護団体EDFのフレッド・クラップ会長は「いま、企業の行動が問われている。アマゾンの取り組みは、スピードと規模の両立を示す好例だ」と述べた。
アマゾンは2040年までのネット・ゼロ達成を掲げており、配送の電動化や再エネ導入、データセンターの効率化などに取り組んでいる。今回の新サービスは、サプライチェーン全体での脱炭素を加速するための一環として位置づけられる。
引用:https://www.aboutamazon.com/news/sustainability/amazon-carbon-credit-service-sustainability