世界の風力発電業界は2024年、グローバルで117GWという過去最多の新規設備容量を導入し、これまでの記録を更新しました。これは、世界の脱炭素目標に向けた大きな一歩であり、化石燃料依存からの転換を後押しする成果です。今回のデータは、グローバル風力エネルギー協議会(GWEC)の最新レポート『Global Wind Report 2025』にて明らかにされました。
導入量トップ5:中国が圧倒的首位、アジアと中東でも急成長
| 国 | 2024年導入量(MW) | 累計導入量(MW) |
|---|---|---|
| 中国 | 79,824 | 520,600 |
| 米国 | 4,058 | 154,258 |
| ドイツ | 4,022 | 72,760 |
| インド | 3,420 | 48,156 |
| ブラジル | 3,278 | 33,727 |
特に注目すべきは、アジア太平洋地域が前年比7%成長、アフリカ・中東では前年比107%増という記録的な伸びを示したことです。エジプト(794MW)とサウジアラビア(390MW)が導入を牽引しました。
課題は政策の不安定さとサプライチェーンの分断
GWECのCEOベン・バックウェル氏は、「投資と雇用を牽引する風力業界が成長を続ける中、世界の一部地域では政策の不透明性や保護主義的な関税政策が大きな脅威となっている」と警鐘を鳴らします。再生可能エネルギーの安定供給とコスト競争力を保つには、国際的な枠組みによる政策の一貫性が不可欠です。
オフショア風力が鍵を握る次のステージ
2024年は、世界で56.3GWのオフショア風力が入札により割り当てられ、特にヨーロッパ(23.2GW)と中国(17.4GW)が主導しました。今後の導入予測では、オフショア風力が2030年までに新規導入容量の17.5%を占める見通しです。
GWEC副会長でありスズロン・グループのGirish Tanti氏は、「2030年までに再エネ容量を3倍にするという目標には、風力の潜在力が不可欠」と述べました。
気候変動対策と経済成長の両立を可能にする風力発電。その拡大の鍵を握るのは、政策の安定性と市場の整備です。