アブダビで10月11日、国際自然保護連合(IUCN)とドイツ復興金融公庫(KfW)は、ラテンアメリカ地域の森林景観再生(FLR)を加速させるための新たな資金メカニズム「フォレスト・アクション・ファシリティ(FAF)」を正式に立ち上げた。初期資金として、ドイツ連邦経済協力開発省(BMZ)が1,900万ユーロ(約31億円)を拠出し、今後6年間で中米およびエクアドルにおける最大20件の森林再生活動を支援する。
パナマの環境大臣で中米環境開発委員会(CCAD)議長のフアン・カルロス・ナバーロ氏は、「FAFは森林再生のみならず、グリーン雇用の創出、地域コミュニティの強靱化、先住民族のリーダーシップの尊重を意味する」と述べた上で、「森林の再生は水と食料の安全保障、そして地域の自然遺産の保全につながる」と強調した。
FAFは各国政府と連携し、公募を通じて市民社会団体、公共機関、民間企業から森林再生・保全・持続的利用を組み合わせたプロジェクト提案を募集する。これにより、生物多様性の保全、気候変動への適応力向上、持続的な生計の確保を目指す。
IUCNのグレッテル・アギラール事務局長は「ラテンアメリカは世界最大の熱帯林地帯であり、気候安定と生物多様性の要である」と述べ、「FAFの発足により、森林再生をスケールアップし、炭素吸収を強化する決定的な一歩を踏み出す」と語った。同氏はさらに「森林を再生することは、気候を安定させるだけでなく、人々の権利と機会に投資することでもある」と述べ、人と自然の共存を掲げた。
FAFは英国法に基づく独立非営利法人として設立され、複層的な監査体制を備え透明性を確保する。成果は国際的なモニタリング基準で評価され、再生面積、植樹本数、CO2吸収量、地域住民への支援実績などを定量的に測定する。
ラテンアメリカ地域の資金窓口では、米州機構(OAS)が政治的パートナーとして各国の資金アクセス支援や優先投資案件の特定を担う。OASのマーク・ランブリデス持続可能開発局長は「FAFの支援は森林破壊の流れを反転させ、地域雇用とエコシステム管理に基づく新たな投資・収入機会をもたらす」と述べた。
KfWラテンアメリカ・カリブ地域局長のクラウディア・アルセ氏は、「FAFは真のパートナーシップと資金動員を促すオープンプラットフォームだ」と述べ、他国政府や企業、財団に参加を呼びかけた。
FAFは今後、プロジェクト支援を通じて炭素吸収量の増大と地域経済の両立を図る。各国の森林再生目標を支えることで、2030年に向けた気候変動対策の中核を担うことが期待される。