炭素除去(CDR)プラットフォームのアイソメトリック(Isometric)は9月24日、国際的鉱業大手アングロ・アメリカン(Anglo American)およびゼロエックス(ZeroEx)と提携し、ブラジルで鉱業副産物を活用した炭素除去(CDR)プロジェクト「プロジェクト・アースストーン」を開始すると発表した。協定に基づき、アイソメトリックは科学的に最も厳格とされる「アイソメトリック基準」と「農業における風化促進(Enhanced Weathering, EW)プロトコル」に従い、カーボンクレジットを発行する。
プロジェクトは農地に隣接する地域で実施され、既にマグネシウムを多く含む鉱業副産物が大量に存在している。この資材は最大で1,500万トンの二酸化炭素(CO2)を大気中から除去できる可能性を持つ。さらに、マグネシウム欠乏土壌での施用により、土壌改良や収量向上といった農業上の副次効果も期待されている。
ゼロエックスのトニー・オーム最高経営責任者(CEO)は「風化促進の拡大には鉱業界との緊密な連携が不可欠だ。アングロ・アメリカンの操業ノウハウとゼロエックスの科学技術・MRV(測定・報告・検証)を組み合わせることで、鉱業副産物を大規模な炭素除去資材へと効率的に転換できる」と述べた。
アングロ・アメリカンのケイティ・ファーガソン上級副社長(研究・開発担当)は「アースストーンの試験的取り組みの主目的は、拡張性を持ち、安全かつ責任ある方法で風化促進による炭素除去クレジットを生成できることを実証することにある。この協業はその重要な一歩だ」と指摘した。
アイソメトリックはクレジットの発行管理を「アイソメトリック・サーティファイ(Isometric Certify)」を通じて行い、全てのMRVデータを透明性を確保した形で追跡する。厳密に裏付けられた高品質クレジットは、信頼性あるCDRの拡大に不可欠とされる。今回の協業は、鉱業副産物を活用したCDRモデルの商業化に向けた大きな節目となる。
参考:https://isometric.com/writing-articles/isometric-partners-with-anglo-american-and-zeroex-to-issue-high-quality-cdr-credits