インド初、ベラの最新CDR手法VM0047事業が誕生 世界4例目、CIPの植林事業「パンナ」でアジアのCDRを加速

村山 大翔

村山 大翔

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英クライメート・インパクト・パートナーズ(Climate Impact Partners:CIP)は2026年2月19日、インド・マディヤ・プラデーシュ州で展開する「パンナ植林プロジェクト(Panna Afforestation Project)」が、ベラ(Verra)の最新CDR手法「VM0047」に基づく登録を完了したと発表した。

インド国内では初、世界でも4例目となるこの登録は、ICVCMが定めるコア・カーボン原則(CCPs)に準拠した高品質な炭素除去(CDR)案件であることを意味する。

厳格な新基準「VM0047」への適合と技術的意義

本プロジェクトは、劣化した景観を回復させるARR事業であり、ICVCMによって承認された非常に厳格な品質・永続性・モニタリング要件を遵守している。CIPは先にフィリピンでアジア初となるVM0047案件「リゾーム・カヤン・プロジェクト(RIZOME Kawayan Project)」を登録しており、今回のインドでの成功により、同社のアジア圏における技術的優位性がさらに強固なものとなった。

CIPのシェリ・ヒコック(Sheri Hickok)最高経営責任者(CEO)は、「パンナの登録は、世界で最も要求の厳しい手法の下で最高レベルのプロジェクトを設計・提供できる当社の技術力の証だ。市場が拡大するために必要な、高い誠実性を備えた炭素除去インフラを体現している」と述べ、その品質を強調した。

1,000万本の植林と地域経済への波及効果

プロジェクトの規模と具体的な定量的成果は以下の通りである。

  • 植林規模
    農地等に最大1,000万本の多様な在来種を植林。
  • 炭素除去量
    累計で約300万トンの大気中CO2除去を見込む。
  • インフラ整備
    樹木の成長と水資源保全のため、ため池や掘削井、点滴灌漑システムなどの大規模な水供給システムを導入。

また、本事業は環境再生にとどまらず、地域農家への直接的な経済利益も設計されている。カーボンクレジットの販売収益の分配に加え、シルクや果樹栽培のバリューチェーン構築を通じて、多世代にわたる持続可能な生計モデルの基盤を築く計画だ。

マイクロソフトが一部確保、残る50%のカーボンクレジット

本プロジェクトによって創出される炭素除去量のかなりの部分は、すでに米マイクロソフト(Microsoft)社によって長期購入契約(オフテイク契約)が締結されている。しかし、カーボンクレジット全体の50%は依然として市場で購入可能だ。

ビゼロ・カーボン(BeZero Carbon)社による事前評価で最高評価の「A.pre」を獲得している本案件は、現在市場で入手可能なカーボンクレジットの中でもトップクラスの品質を誇る。企業が掲げるネットゼロ目標の達成に向けて、信頼性の高い除去系クレジットを求める需要は世界的に高まっており、本プロジェクトの動向に注目が集まっている。

今回のVM0047登録は、カーボンクレジット市場が「量から質」へ、そして「排出回避から炭素除去(CDR)」へと明確にシフトしている象徴と言える。特にマイクロソフトのような先行企業が既に枠を確保している点は、日本企業にとっても、CCP準拠の高品質な案件を早期に確保することの重要性を示唆している。

また、養蚕や果物栽培といった「農業とのハイブリッド型」のモデルは、地域社会の反発を招きにくい持続可能な開発モデルとして、今後の中小規模CDRプロジェクトのベンチマークになるだろう。

参考:https://www.climateimpact.com/news-insights/news/climate-impact-partners-registers-indias-first-vm0047-project-with-verra/