ICVCM 炭素除去(CDR)手法を追加承認 「CCPラベル」対象拡大で市場拡張へ

村山 大翔

村山 大翔

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ボランタリーカーボンクレジット市場の国際的なガバナンス機関であるICVCMは10月1日、6種類の新たな炭素除去(CDR)手法を承認した。これにより、同評議会が定める品質基準のCCPsラベルの対象範囲が広がる。

今回承認されたのは、英国のGold Standardによるコンクリート骨材の炭酸化貯留や、米スタートアップのIsometricによる直接空気回収(DAC)やバイオマス地中貯留など6種類。現時点で発行済みは約3万トンにとどまるが、Isometricの登録済みプロジェクト24件だけで年間320万トンのカーボンクレジット供給が見込まれており、今後の市場拡大が期待される。

さらに、森林分野の手法でも進展があった。メキシコ森林プロトコル第3版(IFM=改良森林管理)とVM0047 v1.1(ARR=植林・再植林・植生回復)が正式にCCP承認を取得。前者はすでに810万トンを発行済みだが、新たに40年の永続性確保市場リーケージ率の導入といった条件が付され、実際にCCPラベルが付与される数量は未確定である。

欧州連合(EU)や英国は今後5年以内に排出量取引制度(ETS)へのカーボンクレジット統合を検討しており、今回の承認は制度化への重要な布石となる。とりわけ永続性の高いCDR案件は、グローバルサウスに拠点を置くケースが多く、国際的な資金流入の経路としても注目される。

ICVCMの議長アネット・ナザレス氏は「削減と除去の両方が不可欠であり、新たな承認は高品質クレジットを求める買い手に幅広い選択肢を提供する」と述べた。

今回の決定により、CCPラベル付きカーボンクレジットの供給は森林管理とエンジニアリング型CDRの両面で拡大が見込まれる。次の焦点は、英国とEUでの法制度への統合時期と、登録済み案件が実際にどの程度の発行に至るかに移る。

参考:https://icvcm.org/integrity-council-approves-six-carbon-dioxide-removal-methodologies/