休止火力発電所を「CO2吸収を活用した低炭素アンモニア拠点」に転換 米Honeywell、インディアナ州で大規模CCS導入

村山 大翔

村山 大翔

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ハネウェル(Honeywell)は10月30日、炭素回収技術を活用し、米インディアナ州の閉鎖火力発電所を低炭素型の水素・アンモニア生産拠点へ転換する計画を発表した。事業主体はワバッシュ・バレー・リソーシズ(Wabash Valley Resources, WVR)で、米エネルギー省(DOE)から15億5,900万ドル(約2,400億円)の融資を確保している。

このプロジェクトは、化石燃料由来の旧式設備を近代化し、肥料の国産供給を強化する連邦政府の戦略の一環である。WVRはインディアナ州ウエスト・テレホートのガス化施設を再稼働させ、年間50万トンの無水アンモニアを生産する計画だ。これにより、米中西部(イリノイ、インディアナ、オハイオなど)の農家が使用する肥料輸入量の約半分を代替できる見通しだ。

年165万トンのCO2を永続貯留 「森林165万エーカー分」に相当

本計画の中核となるのが、ハネウェルの「先進溶剤型炭素回収(ASCC)」技術である。これにより、施設は年間165万トンの二酸化炭素(CO2)を回収し、地下に永続的に貯留する。これは、米国の森林約165万エーカー(約66万ヘクタール)が1年間に吸収する炭素量に相当する。

ハネウェル・エナジー&サステナビリティ・ソリューションズのケン・ウエスト最高経営責任者(CEO)は「エネルギー需要が高まる中で、炭素回収技術は産業の近代化と排出削減を同時に実現する重要な手段だ。WVRとの協業は、農業用アンモニアの国内生産を支え、エネルギー安全保障を高めるものだ」と述べた。

WVRのダン・ウィリアムズCEOも「ハネウェルの技術導入により、米国におけるよりクリーンな肥料生産への道を切り開く」と語った。

韓国SAMSUNG E&Aも設計担当 2028年の稼働を予定

施設の設計とエンジニアリングは韓国のサムスンE&A(SAMSUNG E&A)が担当し、同社はハネウェルと連携してASCC技術の共同マーケティングも進めている。

2028年の本格稼働を目指すこの施設は、米国における低炭素アンモニア供給網の中心的存在となる見通しである。低炭素肥料の生産拡大は、農業分野における温室効果ガス削減だけでなく、カーボンクレジット市場における新たな供給源としても注目されている。

参考:https://www.honeywell.com/us/en/press/2025/10/honeywell-carbon-capture-cechnology-to-help-transform-shuttered-power-plant-into-fertilizer-facility-supporting-us-farmers