カナダのカーボンクレジット企業Hempaltaは、2025年5月21日、カルガリーにある加工施設の閉鎖と、炭素隔離事業への戦略的転換の進捗を公表した。同社はまた、設備売却、融資契約違反への対応、ならびにCO2隔離量の最新状況についても報告した。
Hempalta社は、成長著しいカーボンクレジット事業に経営資源を集中する方針のもと、産業用ヘンプ加工施設を完全閉鎖した。これに伴い、同社子会社Hempalta Processing Inc.は、ファーム・クレジット・カナダ(FCC)から、操業停止による技術的な契約違反として融資契約上の「デフォルト(債務不履行)」通知を受けたが、金銭的な延滞は発生していない。
設備売却については、バイオ炭処理を含む加工ラインを第三者へ約1,150,000米ドル(約1億8,000万円)の現金で売却する契約を締結。売却代金の一部はFCCへの返済に充てられ、同社の財務体質強化に活用される予定である。
HempaltaのAI搭載MRV(測定・報告・検証)プラットフォームにより、2024年のCO2隔離量は約29,000トンに達し、2023年分の15,325トンとあわせて、合計44,000トン超のカーボンクレジットが発行見込みとなっている。現在、第三者認証機関Control Unionによる最終検証が進行中である。
2025年については、参加農地の拡大により、さらなる隔離量の増加が見込まれており、最終的な農地面積および隔離予測値は同年5月末の第2四半期決算とあわせて公表される予定。
同社は、5月21日からニューヨークで開催されている「Carbon Unbound East Coast」に参加し、革新的なヘンプ由来のカーボンクレジット手法を紹介。国際的なカーボンバイヤーやパートナーとの連携強化を図っている。
Hempalta CEOのダレン・ボンダー氏は「レガシー事業の整理を着実に進めるとともに、当社のカーボンファースト戦略を加速させている」と述べ、事業構造の転換と市場での成長に自信を見せた。