世界最大の気候変動技術インキュベーターである米グリーンタウン・ラブス(Greentown Labs)は1月6日、シェル・カタリスツ・アンド・テクノロジーズ(Shell Catalysts & Technologies)およびテクニップ・エナジーズ(Technip Energies)と共同で、産業脱炭素化に向けたオープンイノベーションプログラム「Go Make 2026」を開始した。
同プログラムは、炭素除去(CDR)や低炭素燃料の開発に取り組む世界中のスタートアップを対象とし、エネルギー転換に不可欠な触媒技術の社会実装を加速させる。
今回のプログラムが焦点を当てるのは、技術成熟度(TRL)が3から8の段階にあるスタートアップだ。対象分野はCDR、低炭素燃料、低炭素ガス、および代替化学品製造における触媒技術やプロセス革新である。選出された企業は、エネルギー大手のシェル(Shell)とエンジニアリング大手のテクニップ・エナジーズ(Technip Energies)の経営陣や専門家から直接指導を受けるほか、共同での実証試験(パイロットプロジェクト)の検討機会が与えられる。
現在、化学プロセスの約90%が触媒に依存しているが、その多くは化石燃料由来でエネルギー消費量が多いという課題がある。シェルは、ゼオライトや先進的な溶剤開発で培った研究開発の知見をプログラムに提供する。
一方、2024年に69億ユーロ(約1兆1,040億円)の収益を上げたテクニップ・エナジーズは、エネルギーインフラの設計・建設に関する専門知識を活かし、革新的な技術の商業規模へのスケールアップを支援する。
テクニップ・エナジーズの最高技術責任者(CTO)であるウェイ・カイ(Wei Cai)氏は、「産業の脱炭素化には、大胆なイノベーションと深いエンジニアリングの知見の融合が不可欠だ」と指摘した。同氏は、シェルの触媒技術と自社のエンジニアリング能力を組み合わせることで、画期的なコンセプトを実用可能な産業的現実に変え、世界の排出量削減に貢献したいと述べた。
グリーンタウン・ラブスの最高経営責任者(CEO)であるジョージナ・キャンベル・フラッター(Georgina Campbell Flatter)氏は、「触媒の脱炭素化はエネルギー転換における重要な一歩だ」と強調した。参加するスタートアップにとって、業界の専門家や将来の顧客と直接対話できるこのプログラムは、事業を劇的に変える転換点になるとの見解を示した。
プログラムへの申請は世界中から受け付けており、選考を経てパートナーシップ構築に向けた集中型カリキュラムが提供される。
今回の「Go Make 2026」の始動は、CDRや産業脱炭素の「死の谷(研究から商用化の間の空白)」を埋める極めて実戦的な動きといえる。特に注目すべきは、エンジニアリングの大手であるテクニップ・エナジーズが参画している点だ。
CDR分野のスタートアップは、ラボレベルで優れた技術を持っていても、いざ産業規模(ギガトン級)にスケールアップする際のプラント設計やコスト管理で壁にぶつかることが多い。
シェルのような事業会社とテクニップのような設計・施工のプロが伴走する枠組みは、日本の技術系スタートアップにとっても、海外市場への足がかりや国際標準の獲得に向けた有力なゲートウェイになるだろう。
参考:https://greentownlabs.com/greentown-labs-announces-go-make-2026-with-shell-and-technip-energies/


